認知機能タイプチェック「MNTI」の誕生とその意義
2023年、特定非営利活動法人イシュープラスデザインとテオリア・テクノロジーズが共同で開発した、認知機能タイプチェック「認知症世界の歩き方 MNTI」がリリースされました。この新しいWebサービスは、自分の認知機能を簡便にチェックできるもので、30の質問に答えるだけで、記憶や注意、実行、五感など10の領域にわたる認知機能の傾向を可視化します。
MNTIの背景と目的
「認知症世界の歩き方」というプロジェクトを推進しているissue+designは、認知症のある方101名へのインタビューをもとに、認知症の世界を理解する手助けをしています。一方、テオリア・テクノロジーズは認知症に関連する情報を集約したポータルサイト「テヲトル」を運営しており、ソリューションを通じて認知症への偏見をなくす取り組みを行っています。
今回の協働は、認知症に対する視点を変え、人々が「自分ごと」として捉えられる社会を目指すものです。両社は、認知症をネガティブなイメージから解放し、より多くの人に理解を深めてもらうことを目指しています。
MNTIの機能と利用方法
MNTIはスマホやタブレット、さらにはパソコンから簡単にアクセスできます。ユーザーはまず、自分の顔写真を撮影し、その後30問の質問に答えるという流れです。この過程で、生成AIを活用し、撮影した写真は旅人のイラストへと変換されます。こうして得られた結果は、旅の形式で表示され、自分の認知機能の特性を楽しく理解できる設計になっています。
結果は、自分自身が旅をするような体験を通じて自身の認知機能を知る手助けをしてくれます。日常生活のヒントや特性との付き合い方も提供され、利用者が自らの理解を深めるための重要なツールとなっています。
監修医師のコメント
認知症専門医であり、MNTIの監修者でもある内田直樹先生は、『認知症は老化の一部であり、誰にでも訪れるものです。このサービスが認知症への理解を促進し、一人ひとりが自分らしく生きるための備えにつながることを期待しています』とコメントされています。しかし、MNTIは単なるチェックツールではなく、認知症に対する知識を深め、人々がこの病にどう向き合うべきかを考えるきっかけとなることが目指されています。
認知症講演会とMNTI体験ブース
この新たな取り組みは、2025年9月25日に神奈川県大和市で開催予定の「認知症講演会」において、MNTIの体験ブースも出展される予定です。地域の方々に直接体験してもらうことで、その効果や意義を広めていく意図があります。
開発の背後にある理念
issue+designは、「社会の課題に、市民の創造力を。」をスローガンに、2008年からソーシャルデザインプロジェクトを展開。認知症に限らず、地域や社会の課題に対してデザインの力で挑むプロジェクトを数多く実施中です。一方テオリア・テクノロジーズは、エーザイグループの一部として、認知症の解決を目指し、テクノロジーを活用して多面的なアプローチを行っています。
まとめ
認知機能タイプチェック「認知症世界の歩き方 MNTI」は、認知症に対する理解を深め、未来に向けての備えを考える重要なステップです。この新サービスが、誰もが参加できる社会づくりの一助となることを期待しています。