風景画家・岩﨑恒男「彼方へ」展とは?
2023年11月30日から鎌倉で開催される「風景画家・岩﨑恒男『彼方へ』展」では、故・岩崎恒男氏が生涯で描いた風景油彩画約60点が展示されます。この展覧会は、商業目的から離れ、個人的な情熱が込められたアート作品を紹介する「個人的な居所としてのアート」という新たな試みに基づいています。
岩崎恒男氏とその作品
岩崎恒男氏(1939年~2012年)は、埼玉県東松山を拠点に、自然の風景を題材にした油彩画を手がけてきました。彼の作品には、空と大地との境界を見つめる視点が見受けられ、特に草原や古民家風景を描いた作品群からは、その静謐さと繊細な色調が印象的です。強い意志を持って描かれる彼の絵からは、自然そのものへの深い愛情が伝わってきます。
多くの作品は生前、近親者にしか触れられることがなく、その魅力を知らないままに埋もれていました。しかし、この展覧会を通じて、彼の情熱がより多くの人々と分かち合われることになるのです。
アートの意義を問う試み
「個人的な居所としてのアート」は、趣味や個人の情熱から生まれたアートに新たな光を当てる取り組みです。商業的視点とは無縁の作品群が展示されることで、作家の情熱と鑑賞者の共感が交わるスペースを創出し、アートの本質について問いかけます。また、展覧会の主催者はこのシリーズを公募制にして、より多くの隠れた才能を発掘する計画もしています。
展覧会詳細
展示内容は、以下の4つのテーマに沿って構成されています:
1. 草原の風景
2. 古民家のある風景
3. 旅の風景
4. 静物画
約60作品が展示される今回の展覧会は、岩崎氏が実 lifeの瞬間を捉えた成果とも言えるでしょう。
岩崎氏の足跡
岩崎氏は、東京電力に勤めながら油彩画を始めました。50歳を超えてから本格的に絵を描き始め、特に彼が心惹かれたモネの光の探求が、彼自身の風景画に影響を与えていたと言われています。とはいえ、岩崎氏は一生を通じて個展を開くことを固辞していました。
そのため、ご遺族の希望で開催されるこの展覧会により、彼の作品が一般に紹介されるのは大きな意味を持ちます。展覧会は無料で見学でき、予約の必要もありません。ぜひこの機会に、岩崎氏の情熱と深い思いが込められた作品を感じ取ってください。
アクセスとその他情報
- - 会場: Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)
- - 住所: 〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
- - 開催期間: 2023年11月30日(木)~12月12日(火)
- - 時間: 11:00~17:00(休館日: 12月6日)
- - 入館料: 無料
展覧会開催中には、故人の甥である黒田貴彦氏によるトークショーも予定されています。これは、彼にとっての思い出とアートの魅力を語る貴重な機会です。「伯父の思い出」と題されたこのトークショーは、12月2日、3日、9日、10日の14時から行われます。アートの背後にある人物の情熱と生涯を知ることで、作品への理解がさらに深まることでしょう。
この試みによって、故・岩崎恒男氏の素晴らしい風景画が新たな形で輝きを放つことを願っています。