モベンシスがSkylla Technologiesを買収
日本のモーションコントロールプラットフォーム企業であるモベンシスは、MIT発の自律走行ロボットスタートアップ「Skylla Technologies」を新たに買収しました。この買収は、両社の持つ先進的な技術を統合し、製造業界を革新させることが期待されています。
買収の背景
モベンシスとSkyllaの共通点は、共にマサチューセッツ工科大学(MIT)からスタートしている点です。モベンシスは1998年にMITのロボット制御プロジェクトから独立し、以来20年以上にわたり業界のリーダーとして成長を続けてきました。「絶え間ない技術革新により、社会の変革に貢献する」という理念のもと、モベンシスはソフトウェアベースのモーションコントロール技術を開発し、特に半導体製造装置や産業用ロボット向けに提供してきました。
一方、Skyllaは2017年にMITのAI ML Engineers & Roboticsグループからスピンオフした企業です。彼らは高い技術を誇るAMR(自律移動ロボット)技術を基盤にしたソフトウェアを提供し、日本を含む多くの企業やプロジェクトに影響を与えてきました。特に、2021年の東京オリンピックでは、Skyllaの技術がショーケースされるなど、その存在感を示しています。
今回の買収により、両社の革新的なソフトウェアソリューションが統合される予定です。モベンシスのWMX技術とSkyllaのJetstreamプラットフォームが連携し、高度なAMRの制御が可能になることで、従来のロボットコントローラやPLC(プログラマブルロジックコントローラー)の必要がなくなります。これにより、コストやスペースが大幅に削減され、さらにバッテリー消費も減少することで、航続距離が約30%増加する見込みです。
今後の展開
モベンシスはこの買収を契機に、製造装置とプロセスのデジタルトランスフォーメーションを加速する計画を立てています。ボストンに設立されるボストン先端R&Dセンター(BARC)では、SkyllaのメンバーやMITの教授陣と共に、ML/AIやマシンビジョンを活用した高度な研究開発が行われる予定です。
特に注目されるのは、プロセス機器と物流機器間のデータ接続の最適化です。これによって、工程自動化の実現に向けた一大革新が期待されています。モベンシスは、Skyllaとの技術統合によりAMR制御技術の強化を図り、グローバル市場での競争力を高め、ソフトウェアメーカーとして新たな地位を築くことを目指しています。
代表者のコメント
モベンシスの佐藤恭祐社長は、「製造現場では、製造装置と統合されるマシンテンディングロボットや自動搬送システムの需要が高まっています。そのため、我々は高精度モーションコントロール技術を基に、AMR市場に進出することにしました。」と語っています。さらに、次世代技術として注目されるモベンシスのWMXとAMRをリードするSkyllaが協力することで、AMR制御プラットフォームのゲームチェンジャーとなることが期待されます。
この買収により、モベンシスは新たな時代の製造技術のスタートを切ることができるかもしれません。これからの展開に目が離せません。
企業情報
- - モベンシス株式会社: 〒190-0022 東京都立川市錦町3-1-13 立川ASビル2F 代表者: 佐藤恭祐 設立: 平成18年 電話: 042-512-5377 事業内容: モーションコントローラの開発・販売 URL
- - Skylla Technologies Inc.: 24 Hartwell Ave Lexington, MA 02421 代表者: Sheng Liu 設立: 平成29年 電話: +1 781 538 6539 事業内容: AMR技術に基づくソフトウェアの開発 URL