大雪山調査会の新たな歴史書が登場
北海道東川町において、山岳史家・清水敏一氏の遺稿集『大雪山調査会〜大雪山研究と開発のパイオニア〜』が発行されました。この発行に関わったのは、大雪山調査会創立100周年記念誌出版委員会で、地域の山岳文化や自然環境への理解を深めるための貴重な一冊となっています。
清水氏は、長年にわたって大雪山に関する調査研究を 行っており、大雪山アーカイブスの専門員としても活躍していました。2023年3月6日に彼は逝去されましたが、その遺した優れた研究成果や思いがこの一冊に沿われています。清水氏の遺稿集には、彼が生前に手掛けた未発表原稿や「トムラウシ山登山大会開催についての提案」といった最晩年の作品も含まれています。
この本は、大雪山の調査研究と観光開発の歴史を網羅しており、清水氏が一生を捧げたその道の歩みが詳細に記されています。彼の探求心と大雪山への愛情が随所に感じられる構成となっており、山岳文化を次世代へと引き継ぐ重要な役割を果たすことでしょう。
清水敏一氏の経歴
清水氏は、昭和8年(1933年)に京都市で誕生し、昭和39年には北海道岩見沢市に転住。登山家としても名声を博し、山岳史に関する編著書を多数執筆。その後、平成28年(2016年)に東川町に移り住み、大雪山アーカイブスの専門員として、地域の文化と歴史を広める活動に専念しました。令和4年(2022年)には東川町特別功労賞を受賞するなど、その貢献は評価されています。
大雪山アーカイブスの役割
大雪山アーカイブスは、東川町が大雪山国立公園の主峰旭岳の麓に位置することから始まったプロジェクトで、その目的は「大雪山文化」を広く世界に発信することです。所蔵している資料には、大雪山に関する書籍の他にも、国内外の山や自然に関する資料が豊富に揃っています。
このアーカイブには、山名を整え「大雪山の父」と呼ばれる小泉秀雄の直筆資料も含まれており、400点以上の資料が東川町の指定文化財として登録されています。展示会や講演会も開催されており、大雪山の文化を次世代に伝える取り組みが続けられています。
本書の意義
清水敏一氏の遺稿集は、単なる歴史書ではなく、大雪山の魅力を次世代に伝えるための重要な資料です。彼の生涯の業績と探求心が詰まった本書が、多くの人々にインスピレーションを与えることを期待しています。そして、本書の出版は、今後の大雪山文化振興の一助となることでしょう。大雪山が持つ自然と文化を未来へと継承するための第一歩となることを願っています。
連絡先
本書や大雪山調査会に関するお問い合わせは、次の電話番号までご連絡ください。
- - 大雪山調査会創立100周年記念誌出版委員会:西原(TEL 090-5078-3022)、片山(TEL 01658-9-4400)
- - 東川町役場:文化交流課文化推進室(TEL 0166-82-2111)
新たに刊行されたこの遺稿集を手に取って、ぜひ大雪山の歴史と自然に思いを馳せてみてください。