AI細胞分析システム
2020-07-02 16:56:28
日立とシンクサイトが共同で進めるAI細胞分析システムの開発
日立とシンクサイトが共同開発するAIによる細胞分析・分離システム
近年、再生医療および細胞医薬品の需要が急増しています。特に白血病の治療に使われるCAR-T療法が2017年に米国で、2019年には日本で承認されるなど、細胞を利用した治療法が実用化されています。この流れを受けて、日立とシンクサイトはAIを駆使した細胞分析・分離システムの共同開発を開始しました。これにより、再生医療分野の課題に対応し、細胞の安定的で低コストな供給が実現できるとされています。
現在、再生医療市場は急速に成長しており、2020年の6,300億円から2025年には3.8兆円に達すると予想されています。このような市場の拡大には、高品質の細胞を再現性良く選別し、安定供給できる体制が求められます。日立は、iPS細胞の大量自動培養装置や細胞培養加工施設を通じて、製薬企業や研究機関に多様なニーズに応えるバリューチェーンを提供してきました。
シンクサイトは、細胞一つひとつのより詳しい分析を可能にする「ゴーストサイトメトリー」技術を開発しました。この技術は、染色なしで高精度かつ高速に細胞を分析・分離するものであり、従来の方法の限界を突破するものです。日立の装置の安定性と、シンクサイトの分析精度が融合することで、今まで不可能だった細胞の高速かつ高精度な無染色分離が実現します。
この共同開発により、製薬会社は再生・細胞医薬品を安定的に大量生産できるようになり、製造コストを引き下げることができます。特に北米の市場では大きな需要が見込まれ、日立とシンクサイトはその市場への連携を進めていくつもりです。
さらに、日立はデジタル処理技術を活かし、高信頼性の装置を提供し、再生医療のバリューチェーンに貢献することを目指しています。
具体的な技術の詳細
シンクサイトが提供するゴーストサイトメトリー技術は、高速に細胞の構造情報を取得し、リアルタイムでその情報を処理するイメージング技術です。特別な照明技術により細胞を不必要な化学物質に晒すことなく、迅速にデータを収集できるため、医療の文脈では非常に重要な役割を果たします。
この技術により、抗体での染色等を行わずに細胞を分離できるため、病気の診断や治療に革命をもたらすことが期待されています。これまで選別方法に困難が伴った細胞の識別が容易になり、さらなる進展が期待されています。
まとめと今後の展望
日立とシンクサイトの共同開発は、再生や細胞医薬品の市場に新しい風を吹き込む可能性があります。AIを利用した技術によって、医療業界に革新をもたらし、効率的かつ高品質な細胞の供給が可能になるでしょう。これにより、製薬業界のコスト削減と生産性の向上が期待され、患者へのアクセス向上にも寄与すると考えられます。最終的には、新たな治療法の確立につながる可能性を秘めており、さらなる発展に注目が集まります。
会社情報
- 会社名
-
シンクサイト株式会社
- 住所
- 東京都文京区本郷7-3-1東京大学アントレプレナープラザ403
- 電話番号
-
03-3868-2520