身体的拘束の課題
2025-08-13 19:51:28

身体的拘束の増加が懸念される病院、現状と今後の課題

身体的拘束の現状



病院における「身体的拘束」の実施状況が、近年増加しているという報告があります。特に、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)が行った調査では、国が身体的拘束を抑制するための施策を強化した後も、約4割の病院でその利用が増えていることが判明しました。身体的拘束は、患者の行動を制限する行為であり、実施すべき正当な理由がない場合には虐待とみなされることもあります。このため、患者の尊厳を守りながら安全な医療を提供するためには、身体系の拘束の適正化が強く求められています。

政府の施策とその影響



2024年度の診療報酬改定では「身体的拘束最小化の基準」が新たに追加されました。この基準や施策は、身体的拘束が行われた場合の記録や理由の報告、さらには「身体的拘束最小化チーム」の設置を義務付けています。もしこれらの基準を満たさないと、最も収益の大きい「入院基本料」が減算され、場合によっては年間で約1320万円の減少が見込まれます。

改定後も、身体的拘束が増加した290の病院が存在することから、病院間には均一性が欠けていると言えます。身体的拘束の状況を改善するためにも、施設内での具体的な情報共有と対策が必須です。特に、高齢者を対象とする施設や、せん妄リスクの高い患者の管理においては、その背景を施設内で明確にし、適切な対応を検討する必要があるでしょう。

分析データと専門家の意見



GHCでは、1000以上の医療機関から集めたビッグデータをもとに、身体的拘束の実施日数について分析しました。分析対象には、2024年の初めと2025年の初めでデータを比較し、合計で24万1941件の症例を含めました。その結果、身体的拘束の実施日数が減少した病院も526件みられる一方で、290の病院ではその数が増加しました。これは、病院ごとの医療ニーズや環境による大きなばらつきを示しています。

医療現場の専門家である理学療法士の小岩雄大氏は、「身体的拘束を最小化に向けた進展が見られるものの、さらなる取り組みが求められる」と言います。特に、身体的拘束が増加した理由をしっかり把握し、その要因に対する対策を講じることが重要だと指摘します。現場での判断基準や記録方法を見直すと同時に、医療行為が身体的拘束を引き起こしていないかを再度見直す必要があります。

結論



今後、身体的拘束の適正化は、医療現場において大きな課題となります。病院はこれらの施策を遵守し、入院医療に携わる全てのスタッフが一丸となって取り組むことが求められています。個別のケースに適切に対応し、地域の医療資源を活用した支援体制の構築も必要です。患者にとってより良い医療環境を作るために、身体的拘束の最小化に向けた真剣な努力が今こそ重要とされています。


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