時代を超えた学びの形を探る田中優子の新刊発表
このたび、イシス編集学校の学長である田中優子氏による新刊『不確かな時代の「編集稽古」入門』が11月13日に発売される。 これは、現代の不確実な社会情勢にどう立ち向かうかを考察するものであり、教育の枠を超えた「稽古」という新しい方法論を提案している。
学びの未来を問う
新刊の中で、田中氏は生成AIに代表される不確実性の高い時代において必要な学び方を模索している。特に、過去の成功体験だけでは未来に不安がつきまとう今、その不安に対してどうアプローチすべきかを問い直し、「稽古」の重要性を強調。イシス編集学校での実践例とともに、25人の学び手の声を織り交ぜながら、これからの学びの形を提示する。
イシス編集学校の特色
イシス編集学校は、編集工学者松岡正剛氏が創設した独自の学びの場として、オンラインを通じて24時間いつでも学ぶことが可能だ。受講者は多様な職業を持ち、医師や教師、経営者、学生といった様々なバックグラウンドを持つ人々が集まっている。この学校では「稽古」という形態を通じ、参加者同士が相互に学ぶ関係性を築いていき、それぞれの持つ能力を引き出していく。
編集稽古の内容とは
本書では、特に「編集稽古」という概念が注目されている。「編集稽古」とは、一般的な教育の枠を超えた、新しい学び方であり、学ぶことを「稽古」と位置づけ、各自の心と身体を使って学ぶことを目指す。具体的には、自らの感覚を使って何かを学び、それを自らの表現に落とし込むというプロセスを重視。参加者は「正解」や「到達点」を求めるのではなく、自分自身の過程を深めていくことに価値を見出す。
このような方法論は、特に現代の多様化した社会においても、生かされるべきであり、田中氏はこの稽古を通じて、対話の重要性や共感力の育成が大切であると述べている。
学びの広がりと結果
特に本書では、多様な職業の25人の学び手たちの実践事例が紹介されている。大学生や、外務省現地駐在員、医療従事者など、年齢や職業にかかわらず幅広い層が、どのように「編集稽古」を日常に取り入れ、実生活での柔軟性や発想力を高めているのかが示されている。
例えば、軽井沢風越学園の理事長である本城慎之介氏もこの手法を取り入れ、学校経営に活かすことで大きな成果を上げたという。彼の体験談も、一つのケーススタディとして本書に収められ、読者に多くの気づきを与えることだろう。
まとめ
この新刊は、教育を超えた学びのアプローチを考え直す良い機会と言える。変化の激しい現代において、どうやって自分自身を磨き、適応していくかを示唆する内容は、学生からビジネスパーソン、さらには広く一般の方々にも有意義な示唆を与えるに違いない。一人ひとりがこの不確かな時代を生き抜くために、必要な知識とスキルをどのように身につけるべきか、ぜひ手に取って深く考えてほしい。
この新刊の発行を祝し、田中優子氏は出版記念イベントも計画している。参加型の対談や特別講座を通じて、さらなる理解を深めるチャンスとなるだろう。最近の社会状況をふまえ、多くの人々が参加し、新しい学びの形が共有されることを期待したい。