シネマトグラファーJIN ITOの独創的な写真展「57秒間の自然」

JIN ITOの独創的な写真展「57sec」

2022年1月9日から23日まで、東京・渋谷の「CONNECTION」でシネマトグラファーJIN ITOによる初の写真展『57sec』が開催されます。本展は「人間にはなく、自然にはある1日に57秒間の空間」というテーマに基づき、未発表のフィジカル作品を展示します。

JIN ITOは次のようにコンセプトを説明しています。「われわれが使っている暦は、地球が太陽の回りを回る周期を基にしていますが、自然には暦という概念が存在しません。その中で、1年の誤差は1日あたり57秒という自然な時間のずれが生じています。この57秒の空間は、人間には見えない特別な場所なのではないか。」

本展の特異性

この作品は、57秒間という自然の観測で成り立っています。コロナ禍の2020年春、普段は映像作品を手がけるJIN ITOがスチールカメラを用い、表現の枠を広げる中で生まれました。彼は、自然の視点から見る時間の流れを反映させようとしました。

展示会場では、レンズと被写体との間に存在する温度や湿度、そしてその場の空気感など、視覚化できない要素をカメラで表現します。さらには、14メートルの長テーブルにプールを作り、本物の霧を発生させることで、観客が身体的に体感できるコンセプチュアルな展示に仕上がっています。

専門家からのコメント

京都芸術大学の教授である後藤繁雄氏は「JIN ITOは時間の科学者でありアーティストだ。彼の作品は、自然と人間の時間のズレをアートに昇華させている」と評価しています。この作品が生み出すのは、視覚的な表現の中に命の essenceが感じられる瞬間です。

JIN ITOが捉えた光は、ただの写真ではなく、我々が存在する宇宙の中でのいのちの星からのメッセージとして捉え直されます。彼の作品は、鑑賞者に時間の多様性と生命の本質について深く考えさせるきっかけとなります。