特定疾患療養管理料見直しがもたらす医療制度への影響とは
2024年6月から施行される診療報酬改定により、特定疾患療養管理料の算定対象から高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病が外されることが発表されました。これらの疾患は多くの患者に関わっており、その除外は診療体制や医療費にどのような影響を与えるのでしょうか?今回は、日本システム技術株式会社が提供するメディカルビッグデータ『REZULT』に基づき、このテーマを深掘りします。
1. 特定疾患療養管理料とは
特定疾患療養管理料は、一定の疾患を持つ患者に対して計画的な医療管理を提供することを評価する診療報酬点数です。従来これに含まれていた3つの疾患は、特に医療機関や患者の算定において大きなインパクトを持っていました。しかし、2024年の改定により、これらの疾患が除外される結果、患者や医療機関は新たな対応を迫られることになります。
2. 患者一人当たりの医療費の変化
当社がレセプトデータを用いて行った調査によると、診療報酬改定前後の患者一人当たり医療費に微増傾向がある一方、外来での医療費は減少していることが分かりました。特に、外来診療の効率化を目指した今回の改定が、どのように医療費に影響を与えているかがポイントです。
3. 特定疾患療養管理料算定状況の変化
また、患者数は18.3%から9.7%へと大幅に減少しました。特に40歳以上の生活習慣病患者において、この影響が強く現れています。医療機関においても、特に小規模病院やクリニックでの減少が顕著で、これらの医療機関は従来の特定疾患療養管理料に依存していた可能性が高いと考えられます。
4. 新たな管理料の導入とその影響
新たに設立される生活習慣病管理料の登場により、患者はこれまで以上に細やかなケアが求められることになります。国の方針に従い、生活習慣病管理料への移行が進むことが期待されますが、その一方で、以前の監視下から外れることで、ケアの質が維持できないリスクも指摘されています。実際、移行が確認できない患者においては医療費が減少する傾向が見られるものの、生活習慣病管理料に移行した患者でも減少が報告されています。
5. 医療機関への影響
医療機関別に見ると、大規模病院においては診療報酬改定の影響があまり見られない一方、小規模の医療機関では顕著な減少が確認されています。特に特定疾患療養管理料の算定が中心であった医療機関では、影響が大きかったと推測されます。
結論
特定疾患療養管理料から生活習慣病の3疾患が除外されたことは、患者数、医療機関双方に大きな影響を与える結果となりました。今後も医療制度の改定が進む中、患者の健康維持を目的とした新たな指針に沿った体制の整備が求められます。我々は引き続き、メディカルビッグデータを駆使して、地域差分析や保健事業のコンサルティングを行い、より良い医療提供に貢献してまいります。