風力発電の廃棄ブレードを再利用した新たな電力資源プロジェクト始動

風力発電所の廃棄ブレードを再利用した新たな電力資源プロジェクト始動

近年、カーボンニュートラルや循環型経済の重要性が高まる中、風力発電は再生可能エネルギーの柱としての地位を確立しています。しかし、風力発電所から出る廃棄ブレードの問題は未解決の課題です。この廃棄物は、ガラス繊維や炭素繊維で構成されており、その処理は難しく、廃棄や焼却が一般的です。そこで、新たな取り組みが始まりました。

廃棄ブレードを新たな電力源へ

一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム（OGD）は、前田建設工業株式会社とトライポッド・デザインと連携し、超小集電技術を活用して風力発電所の廃棄ブレードを再利用するプロジェクトを発表しました。このプロジェクトでは、廃棄ブレードを利用した「照明付きアートベンチ“reveil”（レヴェイユ）」を制作しました。

このアートベンチには、廃棄ブレードを電解質として使用した集電装置が組み込まれています。これにより、点灯するLEDライトが得られます。廃棄物の削減と新たな電力生産を同時に実現し、社会に新しい価値を提供する試みとなっています。

展示と発表イベントの概要

このアートベンチは、2025年12月17日から大手町3×3Lab Futureで展示開始され、同日に公表イベントも行われます。イベントでは、開発者や研究者がこの取り組みの意義について議論し、メディアの方々も参加可能です。地域住民や来場者に、環境やデザインについての理解を深めてもらうことを目的としています。

社会背景と課題

循環型社会を目指す中、リサイクルや資源循環が急務とされています。しかし、風力発電のブレード処理は、今なお大きな社会課題です。これまで廃棄ブレードは埋立や焼却しか手段がなく、そのCO2排出や処理コストが新たな問題として注目されています。このプロジェクトは、その解決に向けた一歩なのです。

特徴と展望

本プロジェクトの特徴は、廃棄ブレードを利用した照明付きベンチの制作であり、超小集電技術を用いて自給自足型電力を実現しています。これは、電力の収集ができるだけでなく、天候に左右されず、停電時にも利用できる特性を持っています。
今後、OGDはこの取り組みを通じて再生循環型社会の実現を目指し、超小集電技術の普及と情報発信を進めていく計画です。