高校生の探究学習が生む新たなキャリア力
近年、私たちの社会が直面する様々な課題は、未来を担う高校生たちがどのように向き合うかを問うています。認定特定非営利活動法人カタリバが推進する探究学習プログラム「マイプロジェクト」は、学生が自ら問いを立て、課題解決に挑む力を養うものです。このプログラムの価値が、先日実施された調査結果から明らかになりました。
調査背景と目的
2013年に始まった「マイプロジェクト」は、高校生に自分の周りの問題を考え、解決する力を育てるために設計されています。2022年度からは、全国の高等学校において「総合的な探究の時間」が必修化され、ますます重視されています。社会の不確実性が増す中で、主体的に考え、解決策を見出す力が求められています。
しかし、実際の授業では多くの教師が「授業案やカリキュラム設計が困難である」と感じているのが現状です。カタリバが行った2023年の調査でも、探究学習を推進する教員の95%が何らかの課題を抱えていると回答しています。
今回の調査では、探究学習に取り組んだ高校生2,459人の言葉を通じて、彼らがどのような影響を受けたのかを探りました。
調査結果のポイント
1.
キャリアレジリエンスが社会人と同等以上
調査の結果、探究学習に取り組んだ高校生は「キャリア上の困難を乗り越える力(キャリアレジリエンス)」が社会人と同等かそれ以上のレベルに達していることがわかりました。心理学的なキャリア理論によると、仕事を取り巻く環境は予測不可能な出来事で溢れています。そのため、柔軟に対応できる能力が重要視されます。
2.
身についた能力のランキング
探究学習を通じて得られた能力を尋ねたところ、最も多かったのは「主体性(81.9%)」であり、次に「実行力(71.4%)」と「課題発見能力(63.1%)」という回答が寄せられました。若い世代が積極的に行動し、問題を見つけ出すことができるようになったと言えます。
3.
進路選択における影響
調査に参加した高校生の約87.9%が、探究学習の経験が進路選択に役立ったと答えています。これは、具体的な体験が彼らの将来への視野を広げたことを示しています。
探究学習の意義と今後の展望
探究学習に取り組むことで、高校生は職業人生において必要となる柔軟な思考力や実行力を養うことができるのです。この調査が示す通り、高校生たちはすでに社会人としての資質を備えていることが明らかになりました。
今後もカタリバの探究プログラムを通じて、未来への希望を持ちながら自らの道を切り開く力を持つ世代が育っていくことでしょう。教育の現場に携わる全ての者にとって、この結果は大いに励みになるものであるはずです。
まとめ
探究学習は単なる知識習得の場ではなく、学生自身が主体的に問題を考え、解決していく力を育てる重要なプロセスとなっています。高校生たちのキャリア力の向上は、今後の社会や経済を支える力となることでしょう。カタリバの取り組みは、未来を見据えた教育の在り方を示していると言えます。