瀬谷ルミ子氏が読売国際協力賞を受賞
特定非営利活動法人REALs(リアルズ)の理事長である瀬谷ルミ子氏が、《第32回読売国際協力賞》を受賞することが決定しました。この賞は、国際協力の分野で特に顕著な業績を残した個人や団体に贈られるもので、過去には国連の元高官なども受賞者として名を連ねています。
国際協力の草の根での活動
瀬谷氏は、アフガニスタンやシエラレオネ、コートジボワールなどの紛争地域で25年間にわたり、武装解除(DDR)や紛争解決の専門家としての経歴を持ちます。特に、彼女はアフガニスタンで軍閥の司令官との交渉を成功させ、5万人を武装解除に導いた実績があります。これは国際社会において非常に重要な業績であり、彼女の専門知識が評価される所以です。
また、2021年に発生したアフガニスタン危機下では、タリバンによって危険にさらされる1600人以上のアフガン人の国外退避を果たしました。このような実績は、国際貢献の重要性を再認識させるものです。
受賞の意義と姿勢
受賞の知らせを受けた瀬谷氏は、「戦後80年の節目の年に選ばれたことに特別な重みを感じる」とコメントしました。彼女は、世界には依然として紛争や暴力が存在し、人々の日常生活を脅かしていると指摘しますが、その中でも現地の人々が未来を変えたいと立ち上がる姿勢に感動を覚えると述べています。
この賞は、瀬谷氏個人だけでなく、困難を乗り越えようとするすべての人々との「共同受賞」と考えているようです。今後も彼女とREALsは、現場に根ざして人々に寄り添いながら、持続可能な平和を実現するために努力を続けていくとしています。
瀬谷氏の経歴とREALsの活動
瀬谷氏は1977年に群馬県で生まれ、中央大学を卒業後、英国ブラッドフォード大学で紛争解決の修士号を取得しました。高校生の頃から、ルワンダの報道写真を見て紛争地域での活動を志し、その後国連PKO職員や外交官、NGO職員として様々な紛争地での経験を積んできました。
彼女が設立に関わるREALsは、1999年に設立され、紛争地域で争いを防ぎ、平和を構築する活動に取り組んでいます。ガザ、シリア、アフガニスタンなどでの平和の担い手の育成や、地域コミュニティの共存促進、緊急支援を展開しており、多様な活動を通じて人や社会の変化を促すことを目指しています。
受賞式とさらなる展望
贈賞式は2025年12月2日に行われる予定です。この受賞を契機に、彼女の活動がより一層注目され、多くの人々が国際協力に参与するきっかけとなることが期待されます。瀬谷氏の志は、単なる活動にとどまらず、平和を「与えられるもの」から「つくり続けるもの」へと変えていく新たな視点を私たちに示してくれるでしょう。これからの彼女の活動から目が離せません。