ローランド ディー.ジー.がproject44を活用したサプライチェーン改革
静岡県浜松市に本社を置くローランド ディー.ジー.株式会社は、デジタルプリンティングや3Dものづくりの先駆者として広く知られています。今回は、この企業が採用したproject44の可視化ソリューションによるサプライチェーン全体の最適化の取り組みについて詳しくご紹介します。
企業改改革の背景
2022年、ローランド ディー.ジー.は、制約理論(TOC)をもとに全体最適のサプライチェーン・マネジメント(SCM)への体制変更をスタートしました。この取り組みの一環として、リードタイムの短縮という新たな課題が浮上し、サプライチェーンの青写真を改めて描き直す必要がありました。特に、最近のCOVID-19の影響や地政学的リスクによる不確実性が高まる中、リードタイムの管理がますます重要になっています。これにより、同社は実際のリードタイムを把握し、顧客ニーズに基づいた補充方式を確立するために、可視化の重要性に気づくこととなりました。
project44の導入
ローランド ディー.ジー.がproject44のソリューションを選んだ理由としては、マルチモーダル対応、リアルタイム性、データ活用の柔軟性が挙げられます。導入後、即座に実感したのは情報共有の質とスピードの向上です。以前は物流担当者だけが把握していた輸送状況が、可視化によって営業や海外ビジネスユニットなど、さまざまな部門の関係者がリアルタイムで確認できるようになりました。
リードタイムの分析と改善
project44によって得られたデータは、単なる追跡情報を超えた高度な分析でも活用されています。具体的には、リードタイムの定量評価や区間別の傾向分析、改善施策の効果検証などが行われています。これにより各区間のリードタイムを分解し、ボトルネックを特定することが可能になりました。
たとえば、以下の主要区間のリードタイムを月次で分析し、可視化しています:
- - 貨物準備から積み込み港到着
- - 港での待機時間
- - 洋上輸送期間
- - 荷揚げ後の最終目的地までの配送
このように可視化されたデータを活用することで、ローランド ディー.ジー.は、どの区間で時間がかかっているかが一目で分かるようになり、問題が発生した場合は迅速に対応できるようになりました。
組織文化の変化
可視化による情報共有が進むとともに、物流部門内ではリードタイム短縮への強い意識が芽生えてきました。各担当者がデータに基づいた自発的な改善策を模索する姿勢が生まれ、例えば、現地3PLとの情報の可視化や在庫管理の精緻化が進められています。この文化の変化は、業務効率の向上だけでなく、顧客満足度にもつながっています。
成果と今後の展望
project44の導入により、ローランド ディー.ジー.は以下のような顕著な成果を達成しました:
- - 物流部門がリアルタイムで出荷状況を把握し、判断が迅速化
- - リードタイム分析に基づき在庫水準を見直すことで数億円の安全在庫を圧縮
- - 分析結果をもとに輸送ルートの最適化を実現し最大26日の短縮
これらの成果は単なる業務の効率化に留まらず、SCMを中核とするバリューチェーン全体の最適化に向けた重要なステップです。今後は、この可視化によって得た共通データをもとに、さらなる部門間の連携を強化し、持続的な競争優位の確立を目指していくとのことです。
終わりに
ローランド ディー.ジー.がproject44を導入したことで、サプライチェーンの可視化とリードタイムの短縮に見事に成功しています。この取り組みが今後もさらなる成果を生むことが期待されており、業界の先駆者としての地位を維持していくでしょう。