立命館大学発スタートアップが進化、オーシャンリペアの新たな挑戦
福岡県福岡市に本社を置くオーシャンリペア株式会社は、2024年2月2日に創業1周年を迎え、経営体制を共同代表制へと移行することを発表しました。これにより、より迅速な意思決定が可能となり、深刻化する海の環境問題「磯焼け」の解決に向けた新たなビジョンを提示します。
共同代表制の背景
創業から1年間、オーシャンリペアは磯焼け問題の解決に向けた様々な取り組みを行ってきました。その中で、高栄養価のドッグフード「オーシャンハーベスト」の開発・販売などを通して、事業基盤を確立。今後、政策面でのスピード感をもって磯焼けに対処し、さらなる成長へ向かうべく経営体制を強化したのです。
共同代表制に移行することで、現取締役副社長でCSOの戸田耕介が新たにCEOに就任し、現CEOである光斎翔貴がCROとしての役割を果たします。それぞれが得意とするビジネスと研究の分野で経営を行うことで、磯焼け問題の対策を迅速に進めていくことを目指しています。
磯焼け問題の深刻化
「磯焼け」とは、沿岸の海藻が急激に減少し、ほとんど消失してしまう現象を指します。特に日本では、この問題が年々悪化しており、毎年東京ドーム427個分の藻場が消失しています。これにより、海藻が担う重要な役割であるCO2の吸収が失われ、漁業資源の減少や地球温暖化の加速といったさらなる問題を引き起こしています。このため、オーシャンリペアは食害魚を有効活用することで磯焼け問題に挑む独自のアプローチを採用しています。
高栄養価ドッグフード「オーシャンハーベスト」
オーシャンリペアは、磯焼けの原因となる食害魚を活用した高栄養価ドッグフード「オーシャンハーベスト」を開発し、2024年9月に販売を開始しました。主原料として使用されるのは、長崎県五島列島で漁獲されたイスズミとアイゴ。この2種の魚は、高タンパクで低脂質という特長があり、鮮度の高い状態で加工されるため、愛犬の健康にも配慮されています。
このドッグフードはすべて国産の原材料を使用し、小麦グルテンを含まないため、アレルギーを持つ犬にも安心して与えることが可能です。また、製造過程においては技術的な品質管理が行われており、顧客が安心して食べさせることができます。
2030年に向けたビジョン
オーシャンリペアのミッションは「10年後は今よりもっといい海に」、そして2030年までに全国で100か所の藻場再生プロジェクトに挑戦することです。この目標達成のため、食害魚の買取、藻場再生モニタリング、大学との連携などの施策を推進していきます。
新CEOの戸田は、「磯焼け」が普段は見えない海の中で進行している問題であり、自らの食生活に影響を及ぼしていると指摘しました。新体制のもと、ビジネスと研究の融合を図りながら、磯焼け解決へと向かう決意を固めています。加えて、CROの光斎は研究の目的が学術の発展だけではなく、社会貢献であるとし、磯焼け解決に向けた新しい科学的アプローチの必要性を強調しました。
オーシャンリペア株式会社について
オーシャンリペアは、磯焼けの問題に立ち向かうため、立命館大学発のスタートアップとして2024年に設立されました。ペットフードの製造や地域活性化に向けたコンサルティングなど多岐にわたる事業を展開し、持続可能な海の環境を実現すべく努力しています。
私たちは今後も、食害魚の利用を通じて環境問題の解決に挑むオーシャンリペアの動向に注目していきます。