新日本繊維による新技術の誕生
このたび、電源開発株式会社(以下、JP)と新日本繊維株式会社(以下、新日本繊維)が共に進めている環境価値に配慮した高機能リサイクル繊維「BASHFIBER®」の量産化検証設備が竣工し、その落成式が行われました。これは、持続可能な未来に向けた重要な一歩とされ、業界内で注目を集めています。
BASHFIBER®の特性と活用可能性
開発されたBASHFIBER®は、石炭火力発電や石炭ガス化複合発電から発生する灰やスラグを原料とした連続長繊維です。この繊維は、高強度、耐熱性、耐薬品性など優れた特性を備えています。これにより、既存のガラス繊維の代わりとして、さまざまな分野での利用が期待されています。
加えて、放射線に対する耐性を持ち、さらには放射線遮蔽機能を有する「BASHFIBERUS®」のように、医療や宇宙産業、原子力関連への応用も見込まれています。さまざまな用途への展開が進む中、BASHFIBER®は必然的に産業界において新たな価値を提供することになるでしょう。
JPと新日本繊維の連携
2023年3月にJPが出資し、新日本繊維は2024年3月にNEDOの支援を受けることに成功しました。この支援を受けて、BASHFIBER®の量産化に向けた研究開発が進められています。JPは茅ケ崎研究所を活用し、研究開発を支援し続け、2025年6月に建設が着工され、今回の落成式に至りました。
環境への寄与と社会的責任
BASHFIBER®は、石炭火力発電所の副生成物である石炭灰を有効に活用することで、発電所の安定運転にも寄与することが期待されています。この取り組みはJPの長年の課題であり、BASHFIBER®はその解決に向けたキー素材として機能するでしょう。石炭灰のアップサイクルを通じて、新たな価値を生み出し、産業界のサプライチェーンリスクの軽減にも貢献します。
持続可能な未来に向けた「J-POWER BLUE MISSION 2050」
JPは、2021年2月に発表した「J-POWER BLUE MISSION 2050」に基づき、環境に優しい新製品の開発と普及を通じ、カーボンニュートラルの実現に向けて努力を重ねています。この取り組みを通じて、地域社会や産業界全体にポジティブな影響を与えることを目指しています。
このように、BASHFIBER®の量産化は環境に配慮した新しい時代の幕開けを告げるものであり、今後の展開から目が離せません。持続可能な未来を見据えたこうしたイニシアチブは、多くの企業や人々にとっての指針となることでしょう。