石油分解菌と廃塗料の資源化技術
一般財団法人Inbound Japan微生物応用研究所は、東京都あきる野市に本拠を構え、最近画期的な新技術を完成させました。それは、石油分解菌を利用して廃塗料を肥料化し、同時に脱炭素化を促進させる技術です。この技術により、廃塗料の再利用が可能となり、持続可能な循環型社会の構築に貢献することが期待されています。
技術の背景
これまで、塗料の中で未使用となった部分は主に焼却処理されてきました。この過程で発生する二酸化炭素は、大気中に大量に放出されるため、環境への負担が大きいものでした。そこで、Inbound Japanは微生物の持つ分解能力を活用し、未使用の廃塗料を肥料化する技術に取り組んできました。これにより、CO2吸収力の高い早生桐を育てるための肥料として再生利用することが実現しました。
経済性と実用化の進展
この技術の最大の利点として、廃塗料を産業廃棄物として処理する際の経費と同等、あるいはそれ以下に抑えることができる点が挙げられます。この経済性の高さは、将来的に塗装業界全体における広範な導入が見込まれる要因となります。最近、「日本塗装技術協会・2023年度第2回講演会」や「建築設備綜合協会の機関誌」において、この技術が発表され、業界内外からも注目が高まっています。
研究結果の詳細
この資源化技術は以下の特徴を持っています:
1.
全ての塗料に対応:水系、溶剤系、粉体、塗料スラッジ、廃シンナーなど、多様な廃塗料の資源化が可能です。
2.
小規模な設備で実施可能:大規模なプラントは不要で、分解用の微生物製剤と廃塗料を単純に混合することで資源化が達成できます。
3.
業界全体での活用が期待:塗料メーカーや塗装業者を含む全ての関連者がこの技術を使うことができます。
4.
技術の信頼性:2003年にホンダ技研工業との共同研究で開発された技術で、2015年からは日産自動車栃木工場に導入され、その安定性が証明されています。特に、導入に際しては当財団からの綿密な技術支援が行われ、成功を確実にする体制が整っています。
会社概要
一般財団法人Inbound Japanは、アジア地域における日本の技術やサービスに関連する調査、研究開発支援、コンサルテーション事業を展開しています。設立は2011年で、技術的な革新を通じて社会課題にも挑戦し続けています。公式サイトは
こちら からご覧いただけます。
この新たな資源化技術により、廃塗料の利用方法が大きく変わる可能性を秘めており、今後の展開から目が離せません。産業界はもちろん、環境問題への意識が高まる中で、日本の取り組みがモデルケースとなることが期待されます。