デリカフーズが農業に挑む新たな一歩
デリカフーズホールディングス株式会社が、熊本県玉名市に自社農場「熊本農場」を来る2025年9月に開設することを発表しました。この新規参入は、日本の農業の発展を目指し、食の安定供給の課題解決に向けた一環として位置づけられています。今回は、その意義や具体的な取り組みについて詳しく見ていきます。
農業参入の背景
デリカフーズは、2024年5月に発表した第五次中期経営計画において、「調達インフラの再構築」と「輸入野菜の国産化推進」を重点方針として掲げています。最近では異常気象や国際情勢の変化によって、野菜の収穫や品質が影響を受け、特にトマトやキャベツといった重要野菜の卸売価格が急騰する事態が発生しています。
このような背景から、デリカフーズは、未来の子供たちに安全で美味しい野菜を残すため、農業に新たに関わることを決断しました。協力会社や生産者の理解を深めながら、「業務加工用野菜」の生産に特化することで、より安定した調達基盤を築く意向を表明しています。
「業務加工用野菜」の重要性
マーケットにおいて、流通する野菜の約40%が家庭用、60%が業務用加工用とされています。最近のライフスタイルの変化に伴い、業務加工用野菜の需要は高まりつつあります。
デリカファームでは、業務加工用野菜特有の特性を活かし、生産効率の向上と安定供給を目指しています。外観よりも実用性を重視し、規格が柔軟であるため、より多様なニーズに応えることが可能なのです。これにより、大規模な取引を実現し、年間を通じて安定した出荷量を見込むことができるようになります。
熊本農場の概要
熊本農場の施設は、ビニールハウスが2棟、合計で9,916㎡の広さを持ち、初年度には赤系トマトと種なしピーマンの生産が予定されています。この赤系トマトは、生食用のトマトとは異なり、加工に向けた特徴があり、旨味が強く、実もしっかりとしています。また、種なしピーマンの導入は、調理の手間を減らすため、業務用野菜としての需要を高めることが期待されます。
この農場では、2025年11月には初回の収穫が行われる予定で、デリカフーズグループにとって初の自社農作物となります。全国約3万店舗へのデリバリーを行う当社だからこそ、実現可能な挑戦です。
農業への未来志向
日本の農業人口の減少と高齢化が進行する中、デリカフーズグループは経営理念を刷新し、持続可能な農業の実現に向けて邁進しています。具体的には、食料危機に備え、栽培、貯蔵、流通の各段階に着手し、コールドチェーンの確立を目指しています。
今後は、新規就農者の支援にも力を入れ、農業参入のハードルを下げる取り組みを進めていく意向です。デリカファームの設立は、ただの事業拡大にとどまらず、未来へ向けた「志」を持って進化する農業への新しい道を切り開くものです。
まとめ
デリカフーズホールディングスが農業に新規参入した背景には、急速な社会変化とそれによる食糧供給の不安定さがあります。新たに設立されたデリカファームは、業務加工用野菜の生産に特化して、持続可能な農業の実現を目指し、新たなサプライチェーンの確立に向けた挑戦を続けます。これからの農業において、デリカフーズの動向から目が離せません。