Mobb Deepが新たな音楽の旅に出る
米国の音楽メディアPitchforkが選ぶ「2025年史上最高のラッパー」に名を連ねるMobb Deep(モブ・ディープ)が、ラストアルバム『INFINITE』をリリースしました。このニューアルバムは、彼らの創設メンバーであるプロディジーの逝去後、初となるフルアルバムで、Havoc(ハヴォック)の緻密なプロダクションと故プロディジーの未発表音源が融合しています。
『Infinite』は、Mobb Deepの文化的遺産を称える一方で、新たな情熱を持った作品となっています。大ヒットアルバム『The Infamous』から27年、プロディジーの死から8年が経過し、Havocは彼への敬意を表しつつ、ニューヨークの荒々しいエネルギーと深い内面的なソウルを組み合わせました。
アルバムの内容
このアルバムには、Mobb DeepのファミリーであるNas(ナズ)、Raekwon(レイクウォン)、Ghostface Killah(ゴーストフェイス・キラー)、Big Noyd(ビッグ・ノイド)といったアーティストが参加しています。また、Jorja Smith(ジョルジャ・スミス)やH.E.R.(ハー)という新世代のアーティストも迎え、まさに世代を超えたコラボレーションが実現しました。プロデュースはHavocとThe Alchemistが担当し、Mobb Deepらしい音楽スタイルを核にした多彩な楽曲が並んでいます。
リードシングル「Down For You」
アルバムのリードシングルである「Down For You」(feat. Nas, Jorja Smith)は、感情深いトーンを設定しています。Havocの深遠なプロダクションにのせて、Jorja Smithの印象的なボーカルが歌い上げます。彼女の歌詞は、愛がもたらす痛みを描写しつつ、Mobb Deepが弱さを力に変える力強さを見せつけています。
「Mobb DeepとJorja Smithのコラボは予想外かもしれないが、俺は意外性を大切にしている。彼女はこの曲をとても気に入ってくれて、完璧に歌い上げてくれた」とHavocは述べています。
同曲に伴うミュージックビデオは、Hidji World監督によって制作され、感情の深さを美しく映像化しています。Havoc、Nas、Jorja Smithのパフォーマンスと、看護師が患者の涙を集めそれで庭を潤すという映像が交互に映し出され、いかに痛みが成長につながるかを象徴的に表現しています。
Mobb Deepのレガシー
2023年、デビューアルバム『The Infamous』が30周年を迎えるこの年にリリースされた『Infinite』は、Mobb Deepにとっての最後のアルバムであり、ファンとの集大成ともいえる作品です。故プロディジーの声を通じて過去から力を引き出し、このアルバムは世代をつなぐ架け橋として機能しています。
『Infinite』は、Mass Appealによる「Legend Has It」キャンペーンの第4弾としてリリースされ、Slick Rick、Raekwon、Ghostface Killahといった他の伝説的アーティストたちとの新作リリースも祝う企画の一環です。
結論
Mobb Deepは、ヒップホップ界での卓越した地位を確立してきました。彼らの音楽は単なる過去の記憶ではなく、今もなお進化し続けています。『Infinite』によって新たな章に踏み出した彼らは、Hip-Hopの可能性をさらに広げていくことでしょう。