日本の資産運用会社の気候変動対策に関する2024年度ランキング
2023年、日本国内の大手資産運用会社16社を対象とした気候変動への取り組みに関する調査結果が発表されました。この調査は、国際青年環境NGO A SEED JAPANと「環境・持続社会」研究センター(JACSES)が行い、各社の排出削減目標や化石燃料に関連する方針など、合計30項目で評価が行われました。評価の結果、昨年度と同様にアセットマネジメントOneが1位、日興アセットマネジメントが2位、野村アセットマネジメントが3位という結果となりました。
評価のプロセス
この調査は昨年12月5日に評価方法と結果を各社に通知し、フィードバックを受け付けた後の最終結果として発表されました。とりわけ注目すべきは、東京海上アセットマネジメントが脱炭素を目指す国際枠組み「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAMI)」を脱退した件について、これがスコアにどのように影響したのかです。この脱退に対する懸念が報告され、他社がこの方向に追随しないことを強く求められています。
主要な調査結果
1.
ネットゼロ宣言と気候目標
13社の運用会社が2050年までのネットゼロ宣言を行っているものの、2030年までの排出削減目標においては、50%を超える野心を持つ設定が見られませんでした。
2.
議決権行使に関する方針
9社が「気候変動への対応が不十分な場合に、取締役や役員の選任議案に反対する方針」を持ち、10社が「気候変動関連の株主提案に原則賛成する方針」を示しました。
3.
株主提案への賛成率
2024年の株主総会で環境NGOから提案された気候変動関連の議案に対し、賛成したのは3社のみであり、その平均賛成率は20%と低調でした。
課題と展望
調査では、気候変動に対する効果的な取り組みが不足していることが明らかとなりました。特に、温室効果ガスの排出削減や、多排出部門へのコミットメントにおいて、運用会社の姿勢には大きな改善の余地があります。今後は、より積極的な方針の策定と実施が求められます。
例えば、調査対象の中で本格的な気候変動対策を示しているのはアセットマネジメントOneやSOMPOアセットマネジメントに限られました。これらの会社は化石燃料への投資制限や、企業への事業転換の促進を行っていますが、他の多くは様々な理由から明確な方針を掲げていないのが現状です。特に、今後の競争力を考えると、気候変動対策に対して先んじることは、企業の持続可能性を高める重要な鍵となるでしょう。
まとめ
今回の調査結果を通じて、日本の資産運用会社がいかに気候変動問題に取り組んでいるかが明らかになりましたが、依然として課題が山積しています。気候危機に対応するためには、業界全体でのコンセンサス形成と実効性のある施策が不可欠です。今後の進展に期待がかかります。