テレワーク時代の心の健康を支える新しい取り組み
近年、多くの企業がテレワークを導入する中で、職場環境や労働者のメンタルヘルスに関する課題が顕在化しています。特に、COVID-19の影響でテレワークが普及した結果、働く人々が一人で抱えるストレスや孤独感は深刻な問題となっています。そこで、近畿大学大学院総合文化研究科の本岡寛子教授が中心となり、新しいウェブシステム「認知行動療法を応用したトータルヘルスケア・プログラム」を開発しました。このシステムは、テレワーク労働者のメンタルヘルスを改善することを目的としています。
課題意識と背景
2020年に初めて発令された緊急事態宣言以来、テレワークが急速に普及しましたが、その反面、労働者が職業性ストレスを抱える傾向が見えるようになりました。多忙な業務の中で、孤独感やメンタルヘルスの問題に直面する人が増えているため、メンタルヘルスに対する新しい支援が求められています。具体的には、週に3回以上テレワークを実施する労働者に対して、個別のストレスマネジメントプログラムを提供しようとしています。
プログラムの概要
新日本コンピュータマネジメント株式会社と協力して開発されたこのプログラムでは、労働者を対象に1回のアンケート形式のストレスチェックを実施します。その結果に基づいて、ストレス状態に応じた動画を配信し、さらに高ストレスの方にはオンラインカウンセリングを提供します。具体的には、1回のオンラインカウンセリングと合わせて、チャット形式のカウンセリングが3~6回程度行われます。これは認知行動療法に基づいた問題解決療法の一環であり、継続的なサポートが得られます。
メンタルヘルスの改善に向けた取り組み
このプログラムの狙いは、育児や介護、治療といった多様な役割を持つ労働者が、隙間時間に利用できるメンタルヘルスケアの環境を整えることです。強固な構造化されたアプローチにより、ストレスマネジメントや人間関係の改善、さらにはうつ病や不安症といった症状の軽減に寄与することが期待されています。
具体的実施概要
この効果検証研究は、令和7年(2025年)10月から令和8年(2026年)3月までの予定で、週に3回以上テレワークを実施する労働者10名から20名を対象としています。研究の実施にあたり、参加者全員にアンケートによるストレスチェックが行われ、結果に応じてプロフェッショナルなサポートが提供されます。この取り組みは、科学研究費助成事業「テレワーク労働者の精神的健康保持・増進を目的としたオンラインプログラムの効果」の一環として位置づけられています。
お問い合わせ
本内容に興味がある企業や個人の方は、近畿大学大学院総合文化研究科心理学専攻の本岡教授(メール:
[email protected])までお問い合わせください。
最後に
この新しい取り組みが、テレワーク時代におけるメンタルヘルスの問題解決へとつながることを期待しています。労働者一人ひとりの心の健康が守られる社会の実現に向けて、一緒に進んでいきましょう。