最近、訪日外国人旅行者数や消費額が急増する中で、日本の観光業は新たな課題に直面しています。その一つがオーバーツーリズム。この現象は、公共交通機関の混雑や観光地での人々の滞留時間の増加など、多くの旅行者が集まることによる問題です。これを解決するために注目されているのが、手ぶら観光の提供です。EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)は、観光庁の実施するオーバーツーリズム対策に向けた手ぶら観光推進調査の支援を行いました。これは観光庁が未来の観光体験をより良くするための姿勢から生まれたものであり、その結果が2026年4月24日に公表されました。
調査の背景には、今や日本を訪れる外国人観光客の数が増え、彼らが持ち込む大型手荷物が公共交通機関を混雑させる現実があります。観光地では、訪れる人々が長時間滞在することが多く、これいった状況は地域の住民や観光体験を損ねる要因にもなります。手ぶら観光サービスでは、荷物の預かりや配送サービスを通じて、こうした問題を柔軟に解決に導こうとしています。調査結果によると、現在の手ぶら観光サービス利用率は1〜2割程度ですが、その利点は多くの旅行者と地域にとって魅力的であることが認識されています。
本調査では、EYSCが培ってきた観光関連政策の分野での専門性を活かし、訪日外国人旅行者1598名に対してアンケートを実施し、モニターツアーや事業者へのヒアリング、位置情報データの分析といった多面的なアプローチから手ぶら観光の効果を分析しました。ここで確認されたのは、手ぶら観光サービスが観光の動線を最適化し、混雑を緩和し、旅行者の滞在満足度向上に寄与する可能性です。
調査の主要な成果として、以下の3つが挙げられます。第一に、訪日外国人旅行者の「9つの主要旅行動線」を可視化することに成功しました。データ調査は観光庁や民間企業から得た位置情報を基に行い、彼らの行動パターンを整理しました。第二に、手ぶら観光サービスを利用した場合、観光可能時間が最大で1.5時間も増加するという具体的なメリットが示されました。調査によれば、金沢や京都、大阪、広島といった地域で、実際にサービスを利用した旅行者は観光可能時間の大幅な増加を体感しています。最後に、手ぶら観光サービスの認知度はまだ低いものの、利用した旅行者の満足度は94.3%という高評価を得ており、今後の利用意向も高いことがわかりました。
しかし一方で、手ぶら観光サービスの普及の障壁も明らかになりました。最大の課題は、サービスに関する情報が旅行者に行き届いていないことと、手続きが煩雑であることです。また、旅行者の35.9%は手ぶら観光サービスを知らないとしており、PR活動や多言語対応の必要性が強調されています。事業者側でもPR不足や人手不足、連携不足といった問題が挙げられています。
本調査を通じて、EYSCは手ぶら観光サービスが観光体験の質を向上させ、オーバーツーリズムの緩和に寄与するという信頼できるデータを集めました。これにより、手ぶら観光の普及が促進されることで、旅の楽しみが大きく広がることが期待されます。今後の観光業の変革を見守りたいところです。EYSCのチームは、官民連携を進めながら日本の観光産業の持続可能な発展に貢献する意欲を見せています。