トランプ再登場で再注目!
世界的なベストセラー書籍『民主主義の死に方』が、ドナルド・トランプ氏の返り咲きを受け、再び話題を呼んでいます。日本では新潮社から刊行され、今回の重版は8回目となります。
本書は、アメリカやヨーロッパで増加する権威主義的な政権が、やがて独裁政権へと移行する可能性を洞察しています。執筆したのは、ハーバード大学の政治学教授であるスティーブン・レビツキー氏とダニエル・ジブラット氏。彼らは20年以上にわたり、世界各国の民主主義崩壊を研究し続けてきた専門家です。
独裁者の特徴とは?
本書では、独裁的な政治家の特徴を分析し、彼らが権力を手に入れる過程や民主主義を破壊する手法についても詳しく論じています。両著者は、民主主義の存続には憲法や選挙だけでなく、社会の「規範」や「政党」の役割が重要であると示唆しています。なぜならこれらの要素が、民主主義を守るためのガードレールとして機能するからです。
著者はまた、合法的な手続きで独裁化が進行する手法についても言及しています。彼らは、メディアを黙らせ、司法を取り込み、憲法を変更するという危険な進展を指摘し、これに対して警鐘を鳴らしています。このような手法は、政治の二極化が進む現代において特に懸念されるものです。
このタイミングでの再評価
トランプ政権の復活が現実となり、その影響が今後の選挙や国際情勢にどのように反映されるのかが注目されています。独裁的な政権がどうやって誕生し、権力を維持するのかに関する分析は、今なお重要な意味を持っています。本書は、そのような背景を考えさせるきっかけとなる一冊です。
著者の背景
レビツキー氏とジブラット氏は、政治学の最前線で活躍する研究者たちです。レビツキー氏は主にラテンアメリカを対象に研究を行っており、彼の著書には“Competitive Authoritarianism”があります。一方、ジブラット氏はヨーロッパにおける政治の変遷を研究し、著書に“Conservative Parties and the Birth of Democracy”があります。
二人は、ニューヨークタイムズやVoxなどにも寄稿をしており、広くその見解を発信しています。日本語訳を担当した濱野大道氏も、数多くの著作の翻訳を手がけた実力派の翻訳家です。
今後の展望
本書の続編である『少数派の横暴:民主主義はいかにして奪われるか』も好評発売中で、さらなる議論を呼んでいます。民主主義を守るために私たちが何をなすべきか、本書を通じて考えることが求められるときが来ました。私たちの未来がどのように描かれるのか、そのカギを握る警告として捉えたい作品です。