全国初の高校生向け自殺対策ワークショップが開催
この度、長野日本大学高等学校において、自殺予防のためのセミナーが高校生を対象に行われました。これは自殺の深刻な悩みを持つ友人にどのように寄り添うかを学ぶための取組で、全国初となる試みです。このワークショップには、探求創造学科の1年生34名が参加しました。
ワークショップの目的
ワークショップの目的は、子どもたちが深刻な悩みの現状を理解し、支え合うことの重要性を認識することです。前半には、NPO法人第3の家族の代表である奥村春香さんと、NPO法人Light Ring.の代表理事である石井綾華さんが講師を務め、自殺につながるかもしれない悩みについて、具体的なコミュニケーション方法やサポートの仕方を伝授しました。
自殺問題の深刻さ
令和2年以降、小中高生の自殺者数は増加傾向にあり、令和6年には527人に達したとされています。この現状を受け、こども家庭庁では自殺対策の強化が図られています。特に、今年度からはデジタル広報啓発事業もスタートしたことから、若い世代への啓発が急務となっています。
ワークショップの内容
前半:講義と理解
前半では、奥村さんと石井さんが、こどもが抱える悩みの声やその仲間をどのようにサポートするかを解説。特に、奥村さんは実際に寄せられた悩みの事例を挙げ、見た目にはわからない悩みもあることを強調しました。
石井さんは「聴くこと」の重要性や、友人が困ったときに特定の大人に助けを求めることも選択肢に入っていることを若者たちに伝えました。相手に寄り添うことがいかに大切かを感じ取る貴重な時間でした。
後半:カードゲームで体験
後半では、参加者をグループに分け、NPO法人との共同企画によるカードゲームを実施しました。ゲームでは、参加者が「悩み役」や「サポーター役」になり、実際にどうサポートできるのかを体験しました。悩みを持つ人のカードとその状態を示す「状態カード」を使い、どのようにコミュニケーションを図るかを考えながらサポートカードを選びました。この過程で、彼らは友人の気持ちを想像し、更にはその難しさや支えることの大切さについて深い納得を得ることができました。
生徒の感想:学びの実感
参加した生徒からは、様々な気づきや感想が寄せられました。ある生徒は「相手にとっての悩みの大きさが、自分のそれとは違うと思った」と述べ、他の生徒は「相談を受けた時に全力で聴きたい」といった意欲を見せました。このようにワークショップを通じて、思いやりを持った行動が育まれていることが伺えます。
イラストによる記録
また、ワークショップの様子は、同席したイラストレーターによってグラフィックレコーディングとして可視化され、後日参加学校に共有されました。これにより、視覚的な情報として学びを深めることも図られました。
まとめ
このワークショップは、若い世代の心の健康を支えるための重要な一歩となりました。今後もこのような取組が広がり、子どもたちが支え合う文化が根付くことが期待されます。