IIJグループ、選挙投票所向け閉域ネットワークシステムの実証実験
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)とその関連会社である株式会社IIJエンジニアリング(IIJ-EG)は、横浜市選挙管理委員会及び株式会社ムサシと共同で、選挙における投票環境の改善を目的にした実証実験を実施しました。このプロジェクトは、投票所とガバメントクラウドにある投票管理システム間を結ぶための閉域ネットワークを無線通信で構築することで成り立っています。
実証実験の内容
本実証実験では、IIJのサービスを利用して高いセキュリティを持つ閉域ネットワークを作成し、投票所から選挙人名簿との正確な照合ができるかを確認しました。従来は、専用線を設置するまでに時間がかかり、費用も高額になっていましたが、今回の試みではモバイルサービスを活用することで、低コストかつ短期間で柔軟にネットワーク構築が実現可能となりました。この取り組みは、今後の選挙デジタル化や、さまざまな投票ニーズに応じた投票所設置・運営の柔軟性向上が期待されています。
ネットワーク構成
IIJの閉域ネットワークサービスを基盤にした本システムは、インターネットに接続されていないセキュアな環境です。投票所には、NTTドコモとKDDIの両方のネットワークを利用できるマルチSIMルータが設置され、通信回線の冗長性を確保しています。電波の状況によってはキャリアを自動で切り替え、安定した通信を保ちつつ、ガバメントクラウドとの接続を行っています。また、IIJプライベートバックボーンサービス/Smart HUBを利用することで、クラウド環境への接続が可能です。
各社の役割
システム全体の構築には、各社が重要な役割を果たしています。IIJはモバイルサービスやネットワークシステムの提供を担当し、IIJ-EGはマルチSIMルータの構築を行いました。横浜市選挙管理委員会は投票環境を提供し、株式会社ムサシが投票管理システムの開発を担当しています。これらの協力により、投票環境の向上に向けた取り組みが進められています。
投票環境改善の必要性
選挙における投票環境の向上は、投票率を上げるだけでなく、投票所の集約による人員配置の合理化やコスト削減にもつながると考えられています。しかし、本人確認や二重投票防止のためには、すべての投票所が信頼性の高いネットワークで結ばれる必要があります。従来の専用線による接続への依存は、高コストや導入にかかる時間が大きなボトルネックでした。
今後の展望
IIJグループは、今回の実証実験を経て、投票所に向けた閉域ネットワークシステムの有効性を確認しました。これより、信頼性と柔軟性の高い投票所ネットワークを提供し、選挙運営のデジタル化を進める取り組みを続けていく予定です。未来の選挙がもっと便利で、安心できるものになることを目指します。