若手研究者による新しいイニシアティブ「Blend」の発足
非営利株式会社ピロウ(東京都)の代表取締役、江連千佳氏が発起人となり、東京大学の隠岐さや香教授と佐々木成江特任准教授をアドバイザーに迎えた、若手研究者のためのイニシアティブ「Blend」が設立されました。「Blend」は、ジェンダー視点からのイノベーションを実現するための取り組みとして、研究や開発の場を提供します。
「Blend」とは?
「Blend」は、若い世代の研究者が集まり、ジェンダード・イノベーションに基づいた知識や技術を共有し、各自の研究を深化させていくことを目的として設立されました。2024年には、政府が推進する「女性版骨太の方針」にも、ジェンダーを考慮した研究開発が必要とされることが明記されており、このニーズに応える形で設立されたと言えます。
最近では、ジェンダード・イノベーションの知識を獲得する機会が増加しているものの、実際に自分の研究をジェンダーの観点から見直す機会はまだ不足しています。そこで「Blend」が、実践的な場を提供し、若手研究者が自身の研究を更新するためのイベントやプログラムを運営することが求められています。
影響力ある講師陣からの応援
アドバイザーを務める隠岐さや香教授は、ジェンダード・イノベーションは、研究がより良くなるための重要な試みであると強調しています。過去には、ジェンダーとセックスの理解が不足していたことで研究が偏っていたことにも言及し、若手世代にこそGIに参画してほしいと呼びかけています。彼女は、性的な側面を取り入れることで新たな発見が生まれる可能性を示唆しています。
一方、佐々木成江特任准教授も、ジェンダード・イノベーションの重要性を語り、質の高い科学と技術を生み出すためには、性差と交差性分析が欠かせないとしています。これにより、研究に多様性と公平性がもたらされると期待されています。彼女の経験を通じて、より多角的な視点から研究を進める意義が伝えられています。
今後の展望
Blendは、2025年からジェンダード・イノベーションをテーマとした長期的な実践プログラムを開催する予定です。このプログラムでは、仲間と共に研究をブラッシュアップする機会が提供されます。また、企業などからの協賛を募り、会場提供や運営資金を支援してもらうことで、若手研究者の更なる挑戦をサポートしようとしています。
このプログラムに興味のある方は、案内のメールアドレスに問い合わせることができます。
運営メンバーの紹介
- - 江連千佳(代表取締役):若手世代のジェンダー問題に関する起業経験を持ち、技術の社会実装におけるジェンダーギャップの解消を目指しています。
- - 石戸谷由梨:女子中高生向けのSTEM教育に注力し、アプリ『あんしん夜道』を開発した実績を持つ。
- - 城口薫:フェムテックをテーマにした研究を行い、文化的視点からジェンダー問題にアプローチしています。
ジェンダード・イノベーションの重要性
ジェンダード・イノベーションとは、性差を考慮した新しい発見や技術革新を促す取り組みです。例えば、過去の研究では、性差の無視が健康リスクや安全性に悪影響を与えていた事例が数多くあります。このような先例から、今後の研究には必ず性差と交差性の視点が求められるようになるでしょう。
「Blend」は、こうした意義を持つ取り組みとして、将来の研究者たちを応援し、より良い社会の実現に寄与していくことを目指します。