鉄鋼業界を支える新たな試み
株式会社EVERSTEELは、JFEグループの電炉メーカー、JFE条鋼株式会社への鉄スクラップ解析AI「鉄ナビ検収AI」の導入を決定しました。この技術は2025年より、鹿島製造所と東部製造所を皮切りに、豊平製造所を含む国内全製造所での運用が予定されています。
開発の背景
近年、脱炭素社会の実現が求められています。鉄鋼業界は日本のCO2排出量の大部分を担っており、排出削減の取り組みが不可欠となっています。特に、鉄鉱石やコークスを使った高炉法に対し、電炉法では鉄スクラップを再利用しながら製造することができるため、環境への影響を大幅に抑えることが可能です。
しかし、鉄スクラップにはさまざまな不純物が含まれることがあり、特に熟練の作業員による目視チェックでは、査定の誤差や混入物の見逃しがリスクとして存在しています。この課題を解決するため、多くの電炉メーカーがAIを導入し、検収作業の効率と標準化を図っています。
EVERSTEELの取り組み
EVERSTEELは、東京大学発のスタートアップとして、鉄スクラップをAIで分析する「鉄ナビ検収AI」を開発しました。この技術は実証実験を経て、ますますその精度を高めています。JFE条鋼は、日本鉄鋼業の中核を成す電炉メーカーで、自社工場での鉄鋼製品の再生産を通じて、資源循環型社会の実現に寄与しています。
今回の導入により、すべての製造所でのスクラップ検収が標準化され、作業の効率化が期待されています。特に鹿島製造所と東部製造所では、カメラ設置工事が完了し、各製造所の基準に基づいたAI構築が進められています。また、東部製造所では、天井クレーンにカメラを設置し、厳しい振動環境下でも有効に撮影できる技術を確立しました。
今後の展望
EVERSTEELは、現在導入中の顧客を含む11工場での「鉄ナビ検収AI」の稼働を予定しています。この技術は、ユーザーにとって使いやすく、また高精度なデータをもたらすことを目指しています。さらに、地域ごとの統一基準AIの開発も計画しており、業界全体でのスクラップ品質向上を目指しています。
代表者のコメント
EVERSTEELの代表取締役、田島圭二郎は、「JFE条鋼との関係がこのように具体化したことに大変嬉しく思います。鉄鋼業界の脱炭素化を進めるために、データを基にした取り組みが地域のリサイクル品質向上につながることを期待しています」とコメントしています。
会社概要
所在地: 東京都港区
設立: 1999年4月1日
公式サイト
所在地: 東京都文京区
設立: 2021年3月16日
公式サイト
このように、技術の導入が進むことで、鉄鋼業界はさらなる進化を遂げ、環境意識の高まる中、より持続可能な未来を迎えることでしょう。