マルクス・アウレリウス像
2025-08-12 15:06:26

65年ぶりに帰還!ローマ皇帝マルクス・アウレリウス像の感動ストーリー

トルコの文化遺産に関する歴史的な出来事が、遂に実を結びました。ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの青銅像が、65年の時を経て母国トルコに帰還することが決まりました。この像は、古代都市ブーボンから違法に盗掘され、米国オハイオ州のクリーブランド美術館で長らく展示されていましたが、トルコ共和国の文化観光省やアメリカの捜査機関との協力を通じて返還が実現したのです。この事例は、国際的な文化遺産保護の重要性を再認識させる、貴重な歴史的瞬間です。

この青銅像は2世紀から3世紀にかけて制作されたもので、皇帝を哲学者として描く点で非常に希少な価値を有しています。トルコの文化遺産としても特に高く評価されており、アナトリアの青銅彫刻の中でも一際目を引く作品です。像は、1960年代に違法に発掘された後、数度の所有者を経てクリーブランド美術館に収蔵されていましたが、長期にわたる法的および外交的な努力を経て、この度返還が実現します。像は近く、トルコの首都アンカラで開催される予定の展覧会にも出展されることが決定されており、多くの人々にその姿を見てもらえる機会が生まれます。

この像がどのようにして返還されたのか、その背景にはトルコ初の女性考古学者であるジャーレ・イナン教授の努力がありました。イナン教授は、像の出土地がブーボンであることを特定し、その発見を基に2021年からトルコ文化観光省が米国の捜査機関と共同調査を行うこととなります。結果的に、マルクス・アウレリウス像のみならず、他のローマ皇帝の彫像や文化財も同時に返還される運びとなりました。

この一連の調査では、像がかつてブーボンのセバステイオンに位置していたことを明らかにするため、様々な科学的及び法的手段が用いられました。特に、像の足部のシリコン型採取は重要な証拠となり、ブーボン遺跡からの台座との一致が確認されました。さらに、土壌サンプルによる化学分析により、この像の帰属が科学的に証明され、クリーブランド美術館は最終的に像の返還に同意しました。このことは、文化財を正当な出所に返すことの重要性を再確認させる成果でもあります。

マンハッタン地区検事のアルヴィン・ブラッグ氏は、詳細な聞き取りや厳密な科学鑑定がこの像が不正に盗掘され、国際的に文化財の保護が必要であることを示す強力な証拠となったと述べました。また、トルコ文化観光大臣メフメト・ヌーリ・エルソイ氏は、この返還を「外交、法、科学が結集した歴史的な快挙」と称え、これが未来に向けた文化遺産保護への新たな道のりとなることを期待しています。

トルコは長年にわたり文化遺産の保全に努め、国内各地での考古学的な発掘や修復活動も推進しています。今後もトルコは不正な文化財取引と戦いながら、全ての文化遺産の回復に向けた取り組みを継続していく姿勢を見せています。加えて、トルコはアジアとヨーロッパをつなぐ要所として、様々な文明の影響を受けた豊かな文化を有し、国内外からの観光を享受しています。2024年には、過去最高の観光客数が見込まれており、歴史と現代が調和するこの国での観光体験は、訪れる人々にとって非常に魅力的なものとなるでしょう。


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