医薬品包装の未来を切り開く「エコスクラップ技術」
2024年9月26日、山形県のベーリンガーインゲルハイム製薬が、CKD株式会社と協力して、業界初の「エコスクラップ技術」を実用化すると発表しました。この技術は、医薬品の包装工程で発生するPTPシート廃棄物を従来の70%以上削減できるものです。
「エコスクラップ技術」とは?
CKD株式会社が開発したエコスクラップ技術は、医薬品のPTPシート製造において必要な素材の使用量を削減し、包装工程で発生する廃材を大幅に減少させる革新的なアプローチです。具体的には、PTPシートの両端部分を余分な廃棄物として削減し、資源の有効利用を図ります。この技術を導入することで、医薬品包装の環境負荷が軽減されるのはもちろん、経済的なメリットも期待されています。
削減効果と循環型社会への貢献
エコスクラップ技術を使用することで、7%以上の素材節約が実現されるため、資源の効率的な活用が推進されます。また、廃棄物そのものを削減する「リデュース」の概念に基づいて、より持続可能な社会の実現に寄与します。環境問題が深刻化する中、企業としての責任を果たすことはますます重要視されています。
具体的な実用化計画
ベーリンガーインゲルハイムは、2024年末頃から「ClearE-Sheet」と名付けた新しいPTPシートを導入する予定です。初めてこの技術を適用するのは、2型糖尿病治療薬「トラゼンタ®錠5mg」で、導入後は他の製品にも順次展開していく考えです。
サステナビリティへの取り組み
ベーリンガーインゲルハイムは、環境保護を目指す「Sustainable Development - for Generations」という理念のもと、地球環境への負荷を軽減する取り組みを強化しています。代表取締役社長の山﨑誠治氏は、「医薬品包装の環境負荷を低減することは、企業の重要な使命である」と語り、その実現に向けた努力を続けています。
また、同社はPTP包装廃材のリサイクルや鉄道輸送の導入など、サプライチェーン全体での環境負荷低減に取り組んでいます。
今後の展望
今後もベーリンガーインゲルハイムは、環境負荷を抑えつつ高品質な医薬品を提供することで、より良い社会の実現を目指していきます。エコスクラップ技術の実用化は、その第一歩として位置づけられ、業界全体への影響も期待されています。環境に有益な製品が医療現場でどのように活用されていくのか、注目が集まります。