がんと仕事の実態
2022-08-04 11:01:07
がん経験者の就労実態調査から見る職場環境の変化と向き合い方
がん経験者の就労実態調査から見る職場環境の変化と向き合い方
近年、がん患者が治療と共に働き続けることへの意識が高まっています。実際に、最新の調査において、がん経験者の約60%が仕事を続けている一方で、約30%は働き方を変更したことが示されました。この調査は、がん患者とその周囲の人々の意識や行動を深掘りし、職場での支援体制や環境の改善を促すことを目的としています。
調査概要
この調査は、アンコンシャスバイアス研究所と法政大学の松浦民恵教授が共同で実施したもので、2022年の1月から2月にかけて行われました。対象者は、2020年以前にがんと診断された方や、がん経験のない方を含め、計3176件の有効回答が得られました。特に、回答者の中には女性や50代、乳がんの方が多く見受けられます。このような背景を理解した上で、調査結果を受け取ることが重要です。
主な調査結果
1. 働き続ける決断
がん経験者の66%が治療を受けながらも、以前と同様に働き続けていることが判明しました。これは、本人の強い意志と共に、周囲の理解や支援が大きく影響していると言えます。一方で、約33%の方は、働き方に何らかの変更を加えています。これには、労働時間の調整や職務内容の見直しなどが含まれるでしょう。
2. 不安感の軽減
初診の時に「働けなくなるかもしれない」と感じていた人の比率が、時間の経過とともに約20%に減少したという結果もあります。これは、日常生活や仕事に慣れ、精神的な余裕が生まれたことを示しているでしょう。
3. 職場の支援状況
がん経験者の職場での支援についての調査では、上司が理解を示した場合、約60%の人が「これまでどおり働いた」と回答しました。逆に支援がなかった場合は、約30%が「働くことをやめた」との結果があります。このことからも、職場での理解と支援がいかに重要であるかが伺えます。
4. 周囲の意識の変化
がん治療を行っている部下を持つ上司の6割は、「治療と仕事の両立に対するイメージ」がポジティブに変化したと回答しています。身近にがん経験者がいることで、周囲の理解や意識が変わることも多いようです。
5. 相談される側の意識
がん患者が診断を伝える際の懸念として、「同情されること」や「重く受け取られること」に対する意識が高いことも見逃せません。このような先入観が、患者の心情に影響を与え、さらに治療への意欲にも影響する可能性があります。
まとめ
がん患者が治療と仕事を両立させるためには、職場の理解と支援が不可欠です。特に、上司が患者の状況を理解し、支援する役割が重視されています。今後、職場環境を改善し、すべての人にとって働きやすい環境を提供するための方策が求められます。アンコンシャスバイアスを意識し、多様な視点を持つことで、がん患者が安心して働ける社会の実現に向けた一歩を踏み出すことが必要です。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所
- 住所
- 東京都港区南青山2丁目
- 電話番号
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