徳島県でのスキマバイト活用、農業分野の人手不足解消に貢献

新たなパンデミックを乗り越えた徳島の農業

日本の農業界は、高齢化や繁忙期の労働力不足といった問題に直面しています。農林水産省による調査では、2024年には農業従事者の平均年齢が69.2歳に達し、65歳以上が全体の70％以上を占める見込みです。このような状況では、若い新規就農者の数が年間わずか1.5万人にとどまり、労働力の供給は減少しています。特に果樹や野菜の収穫期には、短期的な労働力が求められますが、それを確保することが困難となり、作業の遅延や生産量の低下が憂慮されています。この課題に対処するためには、柔軟な労働力の確保方法を整えることが急務となっています。

スポットワークに特化した「徳島マッチボックス」

「徳島マッチボックス」は、株式会社Matchbox Technologiesが徳島県と協力して提供する新しい就労プラットフォームです。2023年8月1日にサービスを開始し、短時間での就労機会を提供することで、さまざまな人材が自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが可能になります。このプラットフォームは、農業分野での活用が進んでおり、特に収穫期の人手不足を解消する手段として注目を集めています。

「徳島マッチボックス」では、スマートフォンから簡単に応募でき、柔軟に働ける体制が整っているため、若い世代や未経験者でも農業に挑戦しやすい環境を提供しています。これにより、農業が直面する就農者の高齢化問題や繁忙期の労働力不足の解決に寄与しています。

清流ファームの成功事例

徳島県阿南市にある清流ファームでは、約16ヘクタールの農地を管理し、環境に配慮した方法でお米や小松菜を生産しています。繁忙期には多くの人手が必要となりますが、自力での人材確保は困難でした。そこで「徳島マッチボックス」を導入した結果、単発の仕事を希望する地域の人材とつながり、効率的に労働力を確保することに成功しました。運用開始からわずか1か月で、53件の求人を掲載、59件の応募、そして38件の採用を達成しています。

申込者の多くは農業未経験者であったものの、短期間で必要なスキルを習得し、地域の農業に貢献しています。清流ファームでは、未経験者に対しても評価を行うことでリピート勤務を促進し、安定した労働力を確保することに成功しました。

地域全体への広がり

農業分野におけるこうした成功を受けて、徳島県は11月20日に「徳島マッチボックス」の活用を促進するセミナーを開催します。このセミナーでは、農業事業者に向けて具体的な成功事例や、導入時に気をつけるべきポイントについて情報提供が行われます。

参加者には、社会保険労務士からの専門的なアドバイスや、実際の活用事例に基づく知見が提供される予定です。これにより、さらなる農業事業者の参加が期待されています。

まとめ

徳島県における「徳島マッチボックス」の成功は、デジタル技術を活用した新しい就労スタイルが農業の人手不足解消に寄与できることを示しています。今後もこのプラットフォームが多くの農業事業者に広がり、持続可能な地域経済の発展につながることが期待されます。さらなる発展には、飲食業や小売業など他の業種への展開も期待されており、地域全体の雇用確保の問題解決に寄与することでしょう。