OECD造船委員会が示した中国への対応策と市場の現状に関する議論

OECD造船委員会の進展と中国への対応策

2023年4月28日と29日、フランス・パリにて第140回経済協力開発機構（OECD）造船委員会が開催されました。今回の会議では、特に中国の造船市場における影響力の拡大について重要な意見交換が行われました。

造船市場の現況

最近の報告によれば、中国が造船市場において急速に受注シェアを拡大しているとのことです。これは、同国の建造船が他国と比較して低い船価で受注されていることが大きな要因とされています。このままの流れが続くと、公正な競争条件が損なわれる恐れがあり、各国からは新たな政府支援策が船価に与える影響について調査を進める必要があるとの指摘が上がりました。

会議では、造船市場の健全性を保つために、OECDに非加盟の中国を含む議論の必要性が強調されました。参加国は、中国に対する働きかけを強化していくことで合意しました。国土交通省の海事局からも、日本造船工業会の代表者が出席し、具体的な対応策について意見を述べました。

2025-2026年に向けた作業計画

今後の作業計画では、加盟国間で相互に他国の支援政策をチェックし、競争条件の維持に努めることが決定されました。特に、中国などの非加盟国による新たな船舶融資の動向や影響を把握するための調査を実施することが合意されました。この調査は公正な市場維持に向けた重要な一歩と位置付けられています。

また、政府系金融機関による船舶輸出金融ルールに、国際海運の脱炭素化に向けた融資条件を盛り込むための改正案についても議論が進められています。これに伴い、今年6月の次回会合では、この案についての合意が目指されることが確認されました。

韓国の造船業支援と市場への影響

加えて、韓国政府が自国の造船業を支援するための施策についても討議されました。韓国政府系機関が行っている前受金返還保証などの金融支援が、造船市場の公正な競争を歪める懸念があることが指摘されました。これに対し、日本を含む参加国は、韓国の支援策を注視し、必要な対応を行っていくことを確認しました。

今回のOECD造船委員会の結果を受けて、今後どのような具体的な施策が実行されるのか注目されます。中国を含めた非加盟国との関係性が今後の造船市場に与える影響は大きく、各国の協力が求められるでしょう。持続可能な市場形成のため、引き続き国際的な議論が進められることが期待されています。