新しい教育のカタチ、AIアプリ『Prompt for teachers』
株式会社みんがくが、教師による授業デザインを支援するアプリ『Prompt for teachers』をリリースしました。このアプリは、相模原市立中野中学校の梅野哲教諭によって開発され、AIを活用した伴走型の授業設計を実現するものです。特に注目すべきは、AIが教師の思考をサポートし、教育現場に深い学びを促す点にあります。
AIとの対話で学ぶ新しいスタイル
このアプリは、教師が「考える→試す→振り返る」という学習のサイクルを反復できるように設計されています。教師は、アプリに対して対話形式で設定を行うだけで、AIが自動的にデザインプロンプトを生成します。これにより、教師自身がプロンプトや教材を作りこむ手間を省き、効率良く授業設計に集中することができるのです。
学校現場には、さまざまなAIツールが存在しますが、『Prompt for teachers』では、特定のツールに依存せずに生成されたプロンプトを使えるため、全国の教師が簡単にプロンプトを共有し、活用できる余地が広がります。これにより、教育の質の均一化を図ることが期待されています。
梅野教諭が語る、開発の意義
梅野教諭は、これまでの経験から、生成AIを単なる「答えを出す道具」にせず、学習者の主体的な思考を育む存在として活用することの重要性を指摘しています。従来の授業では、教師が主導するスタイルが一般的でしたが、今後はAIがそのサポートをし、学習者自身が考え、深める学びの環境を作り上げることが求められています。
「ただ自由にAIを使わせても、子どもの思考は深まらない」という現実が背景にあり、教師がプロンプトを通じて思考を導く方法を提供することで、AIをより効果的に活用できると考えました。これが『Prompt for teachers』の誕生のきっかけなのです。
具体的な利用方法と効果
アプリの基本的な操作は非常にシンプルです。まず、学年や教科、単元を設定し、授業の目標を入力します。その後、AIは教師からの質問や条件に基づいて提案を行い、授業デザインの思考過程が自然と言語化・可視化されていきます。
実際に、デザインプロンプトを活用した授業では、思考が深まり、学びの質が向上したと多くの教師から寄せられています。たとえば、国語の授業では従来の「書いて終わり」から、AIが深掘りの質問をすることで生徒の思考が活性化されたり、理科の授業においてはAIが法則を導くプロンプトを提供することで、生徒が自ら学びを発見する瞬間を体験しています。
AIと教師の新たな役割
梅野教諭は、AIが教師の補助手段として機能するだけでなく、教師がファシリテーターとしての役割を果たすことが重要だと伝えます。AIとの対話を通じて得た情報を仲間との協働でさらに深め合うプロセスが、現代の教育において重要です。教師の存在が、生徒の学びをより豊かにする鍵であり、AIとともにその役割を担うことが期待されています。
今後の展望
みんがくは、この取り組みが教育の現場にもたらす変化をさらに大きくすることを目指しており、教育資源のシェアや、他の生成AIツールとも連携をはかりながら、全国の学校に広めていく意向です。また利用料金は月額500円(税込)となっており、誰でも手軽に利用できる環境が整えられています。
このように、アプリ『Prompt for teachers』は、AIを通じて自ら学び、教育現場をより良い方向に導くための強力なツールとなることでしょう。教育の未来を切り開く可能性に満ちたアプリとして、多くの教師たちに広がっていくことを期待しています。