イーストタイムズと慶應義塾大学の共同研究
株式会社イーストタイムズと学校法人慶應義塾が、地域の文化や声を掘り下げるための共同研究を開始しました。このプロジェクトは、2025年12月から本格始動し、「ローカルメディアと『語り』に関する研究」に焦点を当てています。
研究の背景と目的
イーストタイムズは2015年、東日本大震災の影響を受けて設立された独立系報道機関として宮城県仙台市でスタートしました。震災報道を経た中で、「生きる人々を伝える」ことの重要性を訴え、ローカルな声を届ける事業を展開してきました。地域の心情や生活を声にすることが社会への共感や活力を生むと信じているのです。
この度の共同研究では、標葉隆馬准教授と中野宏一CEOが研究責任者となり、ローカルメディアにおける「語り」の可能性や保存可能性の向上を目指します。ローカルメディアは単なるニュースの発信ではなく、地域の文化や人々の生活に深く根付いた「語り」を提供することで、地元の課題解決にも寄与することが期待されています。
具体的な研究内容
研究の内容に関しては、文献調査やローカルメディアの関係者へのインタビュー、フォーカスグループを通じて、地域における「語り」の実態について深く掘り下げていく予定です。
特に注目したいのは、コミュニティ内での語りの蓄積がどのように公共財として社会に貢献し得るのか、そのプロセスです。災害から得られる教訓や日常の声をどのように記録し、伝えていくのかは、地域のアイデンティティにも大きく関わってきます。
標葉准教授と中野CEOの視点
標葉准教授は、これまでの「語りにくさ」に関する問題に対して関心を持ってきました。「語りにくい」という構造は、災害や日常生活の中にも潜んでいるため、それを解決するために地域の「語り」の可能性を模索することが重要だと述べています。
中野CEOは、生まれ故郷の秋田での経験を元に、地域の価値が発信されなければならないという思いを語りました。彼は「ローカリティ!」という市民参加型のローカルニュースサイトを通じて、地域の人々が自身の魅力を発信できるよう支援し続けています。今回の共同研究は、自身が追求してきたテーマを学術的に深める絶好の機会だと捉えています。
研究の広がりと期待
この研究が進む中で、地域の声をどのように持続的に発信し、その価値をどのように保存していくかは、多くの地域が抱える共通の課題です。
今後、慶應義塾大学とイーストタイムズの連携によって、ローカルメディアのあり方や地域文化の持続可能な発展に向けた具体的なアイデアが生まれることが期待されています。
この共同研究は、地域の多様な声を生かす新たな視点を提供し、さらなるイノベーションにつながる可能性を秘めています。