グロービス経営大学院におけるAI導入とその効果
グロービス経営大学院は、AI技術を活用した新たなアンケート分析システムを導入し、これにより学生の学習体験をさらに向上させる取り組みを行っています。このシステムは、学内シンクタンクであるグロービスAI経営教育研究所が開発した「GAiDES」(GLOBIS AI Document Evaluation System)を基にしており、自然言語テキスト解析技術を用いています。
このAI導入により、従来のアンケート解析の手間を大幅に削減することができ、特に重要な成果として、アンケート解析時間が70%短縮されました。これによって、教育プログラムの質を維持しながら、学生からのフィードバックへの迅速かつ正確な対応が可能となっています。
導入の背景と経緯
グロービス経営大学院では、東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、水戸、横浜、そしてオンラインで、年4回約40科目・300のクラスを提供しています。各クラスでは、2週間ごとに授業が行われ、学生の満足度を保つために中間アンケートを実施しています。このアンケートは、学生からの要望や意見をクラス運営に活かすための重要な手段として位置づけられています。
従来は、6,000件に上る自由記述のアンケートを教員やスタッフが数日かけて読み解く必要があり、その作業は手間がかかるものでした。しかし、AIを活用することで、解析スピードが飛躍的に向上し、より効率的に課題を抽出することができるようになりました。
アンケート分析システムの詳細
新しいアンケート分析システムは、AIが自動的に回答の中から授業改善につながる重要な要素を抽出します。具体的には、自由記述の回答を分析し、重要な部分をハイライトする機能があります。さらに、内容に基づいてラベル分けを行うことができ、特定の科目や開講期に関連する情報を簡単に表示できることも特徴です。
この仕組みは、過去のアンケートデータを活用してAIが学習し、必要な課題を正確に抽出できるようになっています。これにより、クラス運営チームは、迅速に学生の声に対応し、教育内容の改善に効果的に活かすことが可能になりました。
教育現場におけるAIの活用
今回のAIの導入は、グロービス経営大学院がこれまで行ってきた先進的な取り組みに基づいています。特に、2019年からは入試プロセスでもAIを取り入れ、教育の質を向上させる努力を続けています。また、自然言語処理技術を利用した「GAiL」や「GAiChaL」などの学習システムも同様に導入しており、学生一人ひとりの学習をサポートしています。
グロービスAI経営教育研究所の所長、鈴木健一は、今回のシステム導入について「GAiMERiの阻害要因を解消し、その成果を具体的形で体現することができた」とコメントしています。彼は、学生の声を迅速に把握し、教育プログラムの改善に活かすことができる新たなシステムの価値を強調しました。
今後の展望
グロービス経営大学院は、今後もAI技術を活用し、次世代のビジネスリーダーを育てる教育課程の革新を進めていく方針です。テクノロジーと人間教育の融合を目指し、教育の質を高めていく取り組みを続けることで、より良い学習環境を提供していきます。GAiMERiの研究成果をセンスよく活用し、次世代ビジネスリーダーの育成に繋げていくことで、グロービスはさらなる進化を遂げることでしょう。