腸球菌治療法発見
2024-11-25 14:24:04

画期的!薬剤耐性腸球菌に対する新たな治療法の発見

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)治療の新しい希望



研究の背景


近年、薬剤耐性菌の増加が国際社会で大きな懸念材料となっており、特に院内感染の危険因子として注目されているのが、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)です。世界保健機関(WHO)によると、この菌への抗生物質は次第に枯渇しつつあり、治療法の開発は急務とされています。千葉大学の研究チームは、VREのアルカリ環境での生育に必須なナトリウムポンプに着目し、新たな治療法の発見に成功しました。

研究の概要


研究チームは、VREの生存に必須な酵素、ナトリウムポンプ(Na+輸送性VoV1-ATPase)の阻害剤「V-161」を特定しました。この阻害剤により、マウス小腸内でのVREの定着が大幅に抑制されることが確認されました。

ナトリウムポンプは、腸内のアルカリ性環境でNa+を細胞外に排出する役割を果たしています。V-161は、これを阻害することでVREの生育を滞らせると考えられています。研究者たちは、V-161とナトリウムポンプの立体構造を解明し、その結合メカニズムを明らかにしました。

研究成果の意義


この新しい治療法は、VREのみならず、他の薬剤耐性菌への効果をも期待されます。V-161は、pH8以上のアルカリ性環境下でのVRE増殖を強力に抑制しつつ、健常細胞や善玉菌には影響を与えないため、より安全な抗菌剤の開発に寄与すると考えられています。加えて、クライオ電子顕微鏡を用いて、ナトリウムポンプの構造を高解像度で解明したことも大きな成果とされています。

今後の展開と期待


本研究成果は2024年11月21日に、英科学誌Nature Structural & Molecular Biologyに掲載されました。今後は、V-161の効果をさらに高めるべく、さらなる研究を行い、臨床試験も計画されています。また、得られた知見は、他の難治性細菌に対する治療法開発にも応用できる可能性があるため、今後の医療にも大きな影響を与えることが期待されています。

薬剤耐性菌との戦いにはまだ多くの課題がありますが、研究者たちの新たな発見は、医療現場における治療法を大きく前進させる一歩です。我々の健康を守るための新しい武器が加わることに期待が寄せられています。


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千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 
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