新たなスタートアップ支援の舞台裏
国立大学法人東京科学大学とReGACY Innovation Group株式会社が、新たなスタートアップ支援プログラム「TOKYO SUTEAM」に参画し、ライフサイエンス・ヘルスケア技術のビジネス化を促進すると発表しました。この連携により、国内外の大学における新しいモデルの構築を目指しており、医療分野におけるイノベーションの加速が期待されています。
インタビューの背景
本記事では、東京科学大学内でのライフサイエンス関連の社会実装を推進する医療イノベーション機構の松浦昌宏特任教授に、これまでの取り組みや今後への期待について伺いました。松浦教授は、20年以上にわたる研究開発の経験を活かし、多くの産学連携プロジェクトを成功に導いてきました。
医療イノベーション機構の取り組み
松浦教授によれば、東京科学大学は東京医科歯科大学との統合後も、医療イノベーション機構を立ち上げ、研究者と企業の連携を推進しています。具体的には、産学連携や知財マネジメント、スタートアップ支援に関する活動を行い、インキュベーション施設も整備して、実験環境の提供を行っています。
「医歯学系の技術シーズの実装に向けた取り組みは継続しており、研究者と企業をつなぐことが重要です」と松浦教授は強調します。特に、社会実装に対する理解を深め、志向を持つ研究者と連携することで新たなビジネスモデルの創出を目指しているとのことです。
TOKYO SUTEAMプログラムの特徴
「TOKYO SUTEAM」は、東京都が主催するスタートアップ創出事業で、ReGACYと東京科学大学の連携により実現しました。このプログラムでは、まずシーズリストを作成し、起業に興味がある研究者を選抜することからスタートしています。松浦教授は、社会実装を目指す研究テーマの詳細な情報を基に、700件以上のシーズを洗い出した後、66件の有望なシーズを選定했다고述べています。
このプロセスは、単に研究結果を社会に実装するだけでなく、実際に起業するための明確な道筋を示すものです。松浦教授は、これまでの活動を振り返り、「情報が古くなることが課題であり、最新のデータの整備が必要」と感じていると語ります。
今後に寄せる期待
TOKYO SUTEAMの取り組みを通じて、彼は「スタートアップの創出の成果を示すことで、外部からの資金調達も可能になる」と期待を寄せています。また、医療・ライフサイエンス分野に特化したGAPファンドプログラムも構築することで、大学内のスタートアップエコシステムをさらに発展させる意向を示しました。
結論
東京科学大学とReGACYの協力によるこの新たなプログラムは、ただの技術シーズの支援を超え、実際に起業を目指す研究者とその支援者にとっても価値のある取り組みです。これからの医療イノベーションの進展に期待が高まる一方で、持続可能なスタートアップの創出に向けた取り組みが、どのような成果を上げていくのか注目です。