直木賞作家・千早茜さんの最新短編集『眠れない夜のために』が、2024年11月15日に発売されます。
本作は、家族が寝静まった深夜、ひとり台所に佇む時間や、美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地を訪れる旅人など、様々な「眠れない夜」を描いた10編の短編集です。
「眠らなくてはと、まぶたを閉じる。けれど、目の奥にすこんとした空洞がある」と、第一夜「空洞」では、夜に感じる孤独や不安が表現されています。また、第八夜「繡しい夜」では、「夜にあるのは、見えない恐ろしさではなく、見ようとしてしまう恐ろしさ」と、夜に潜む恐怖と、それを知ろうとする人間の心の葛藤が描かれています。
そして、第九夜「寝息」では、「夜の底の黄金よ、君の寝顔は本当に変わらないから、こんな静かな晩は永遠に続く夜に閉じ込められてしまったような心持ちになるのだ」と、愛する人の寝息を聞くことで感じる、静寂と永遠への憧憬が表現されています。
美しい挿絵を担当するのは、イラストレーターの西淑さん。西淑さんは、千早茜さんの作品『さんかく』や『西洋菓子店プティ・フール』などの装画も手がけています。
千早茜さんの繊細な言葉と、西淑さんの幻想的な挿絵が織りなす、夜の世界をぜひご堪能ください。