再生建築手法を活用した新たな渋谷のランドマーク「COERU」
東急不動産株式会社は、株式会社再生建築研究所と連携し、環境課題に適応した柔軟な発想で設計されたコンパクトビル「COERU」シリーズを展開しています。このプロジェクトでは、「COERU 渋谷道玄坂」と「COERU渋谷イースト」がそれぞれ2024年に竣工予定で、特に注目されています。
再生建築の意義
日本の建物の平均寿命は約30年であり、欧米と比較して短いとされています。しかし、30年以上経過した建物には、現行の耐震基準に満たない場合や時代のニーズから外れたものが多く見受けられます。そこで再生建築は、良好な躯体を持つ建物を活かして、新たにデザインや設計を施すことで、不動産価値を高める手法です。東急不動産は、このアプローチを通じて持続可能な社会づくりに貢献しており、今回の「COERU」シリーズもその一環として位置づけられています。
「COERU 渋谷道玄坂」の概要
このビルは、道玄坂の交差点に位置し、1985年に建設された元カプセルホテルが改修されます。再生建築によって、オフィス・店舗・サウナを含む複合施設へと生まれ変わります。以前の閉鎖的な設計は改装され、開放感あるデザインとして再構築され、居住性向上に貢献します。具体的には、内装デザインの刷新や空調設備の更新が行われ、新しい時代の働き方に即した空間が提供されます。さらに、まちの賑わいも考慮され、地域住民や観光客が楽しめる「サウナ」を中心にした新たな施設が展開される予定です。
このようにして、「渋谷の滞在により自由を」をコンセプトに、「食・泊・整」という三つの機能が統合された体験を提供し、訪れる人々に新しい魅力を感じてもらうことを目指しています。
「COERU 渋谷イースト」について
「COERU 渋谷イースト」は、1972年に共同住宅として建設され、その後リニューアルされましたが、古い間取りのままでした。今回の改修では、再生建築手法に基づき、増築や意匠・設備の更新が行われ、1階は店舗、2〜5階はオフィスビルとして生まれ変わります。
さらに、内部の開放性を高めるために、大きなガラスファサードやルーフテラスを設け、環境負荷の軽減を図りながら明るく快適な空間づくりを進めています。この施設もまた、地域にとって重要な場所へと進化し、スタートアップ企業の成長を後押しする拠点として機能することを期待されています。
環境への配慮
両施設とも、既存の建物を再利用することでCO2排出を大幅に削減し、廃材量も大きく減少します。特に「COERU 渋谷道玄坂」では、建物の再生を通じて89%のCO2削減が可能です。また、間伐材など地域の資源を活用した内装も計画されており、循環型社会の実現にも寄与しています。
まとめ
「COERU」シリーズは、再生建築手法を用いた新しい試みとして、渋谷圏に新たな価値を提供します。環境に配慮しつつ、地域の活性化や居住者の快適性を追求する姿勢が、今後の建築業界の一つのモデルとなるでしょう。これからもさらなる展開が期待される「COERU」に注目が集まります。