名随筆『母なる色』
2025-11-05 10:33:53

人間国宝・志村ふくみが贈る名随筆『母なる色』が文庫化

人間国宝志村ふくみの名随筆『母なる色』、文庫化の喜び



101歳の紬織の人間国宝、志村ふくみ氏が手掛けた随筆『母なる色』が、2023年11月5日に待望の文庫化を果たします。本書は、1999年に初版が出版され、20年以上の時を経て、オリジナルのカラーフォトを多数追加した新しい形で再登場します。

志村氏は、「手仕事なくしては、一日も生きられない」と語る染織家。彼女は自然の色から糸を染め上げ、機織り機を操り、数多くの着物やアート作品を生み出してきました。主婦としてのスタートから、まったくの異世界に飛び込む勇気を持った志村氏。その道のりは決して平坦ではなく、数々の失敗を含むものでしたが、彼女の努力や好奇心、センスは多くの人々を魅了し続けています。

志村氏が、70代の現役で執筆した本作には、特に深い思い入れが込められています。随筆の中で表現される「母なる色」とは、植物から得られる自然の恩恵の象徴であり、彼女が長年積み重ねてきた感性が色濃く滲み出ています。この文庫化を通じて、多くの読者がその豊かな感受性を楽しめることでしょう。

カバーに使用されている布地は、志村氏が織った余り布、小裂(こぎれ)を撮影したもの。手仕事の温もりが感じられる一枚になっています。

著者の感想


志村ふくみ氏は、以下のようにコメントします。「私にとって『母なる色』は、色に生命が宿る瞬間を捉えたものです。この作品が文庫化されることを大変喜んでいます。」

加えて、志村氏の孫であり、志村ふくみの芸術精神を受け継ぐ志村昌司氏も、「本書には『手の中に思考が宿る』というメッセージが込められています。この考え方は、AI時代においてもますます重要です。」と強調しています。このメッセージには、手仕事の未来への強い危機感が表れています。

解説者の見解


法政大学名誉教授の田中優子氏は、「志村ふくみの言葉の中には、色が立ち上がってくるような力強さがあります。読み進めるごとに、まるで別の志村ふくみに出会ったかのような感覚に包まれるでしょう。」と語っています。文庫化されるにあたり、新たに掲載されたカラーフォトは、彼女の表現力をさらに豊かにしており、読者に新しい発見をもたらすことでしょう。

本書の再登場は、志村ふくみ氏の芸術や思想を知らない世代にもその魅力を伝える機会となります。その感受性に触れ、多くの人が彼女の神秘的な「母なる色」を味わい尽くしてもらいたいと願っています。

書誌情報


書名:『母なる色』
著者:志村ふくみ
定価:935円(税込み)
出版社:文藝春秋
発売日:2023年11月5日
ISBN:978-4-16-792445-4
書誌URL:母なる色

この文庫本を手に取り、志村ふくみ氏の言葉に触れることで、彼女が表現する「母なる色」の真の意味を感じ取ってみてはいかがでしょうか。


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会社情報

会社名
株式会社文藝春秋
住所
東京都千代田区紀尾井町3-23
電話番号
03-3265-1211

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