新たな液化二酸化炭素輸送網の構築
日本郵船株式会社、Knutsen NYK Carbon Carriers AS(以下「KNCC社」)、JFE商事株式会社の三社が、液化二酸化炭素(LCO₂)の輸送に必要なカーゴタンクの生産に関する新たな体制を確立しました。これにより、常温昇圧方式に基づくLCO₂輸送の実現に向けた一歩を踏み出しました。
3社の戦略的パートナーシップ
本プロジェクトは、3月に締結されたLCO₂の回収・貯留(CCS)に関する戦略的パートナーシップの一環です。これにより、LCO₂輸送船に必要なカーゴタンクと、それに伴う陸上貯蔵タンク「LCO₂-EP Cargo Tank」の生産体制を整備し、必要な鋼材の供給を安定させることを目指しています。これにより、CCSにおけるカーボンフットプリントの削減が期待されているのです。
本タンクの特徴
本タンクは、常温昇圧方式「LCO₂-EPシステム」を用いて使用されます。このシステムでは、常温かつ一定の圧力でLCO₂を効率よく貯蔵・輸送することが可能です。タンクの材料には、広く利用される炭素鋼を採用し、既存の大径鋼管製造設備を活用した自動溶接で製造されるため、短納期かつ低コストでの供給が見込まれています。
各社の役割
- - 日本郵船:この会社は国内外で広く展開された物流ネットワークを活かし、CCS事業における輸送効率を最大化するためのサプライチェーン全体を検討します。また、海上輸送に関するコストシミュレーションや運航計画の策定も行います。
- - KNCC社:日本郵船のグループ会社として、高度な輸送技術を持つKNCC社は、自社開発のカーゴタンクを用いた常温昇圧輸送の技術的側面を担います。輸送船の設計や運航シミュレーションを実施し、全体のコストを最適化します。
- - JFE商事:JFEグループの中心商社としての知識と広範なネットワークを用いて、タンク製造に使用する鋼材の供給を担当します。これにより、サプライチェーン全体の効率化を進めます。
CCSバリューチェーンとその意義
CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、火力発電所や工場から排出される二酸化炭素を回収し、地下に安定して保管するシステムです。この技術によって、温室効果ガスの削減が期待され、環境負荷の軽減につながります。LCO₂輸送は、この用途において重要な役割を果たします。
新たなカーゴタンクの生産体制の確立は、これらの取り組みの一環であり、持続可能な社会への大きな一歩となるでしょう。これからも3社は、この分野での改善と拡大を進め、早期のCCS社会実装に向けた取り組みを続けていきます。
結論
液化二酸化炭素の輸送体制の確立は、環境保護の観点からも重要な意味を持ちます。今回の取り組みが進むことで、今後のCCS事業の普及が促進され、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。