NTT ComとTBS、スターリンクを駆使した新たな中継技術を実証
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下NTT Com)は、株式会社TBSテレビ(以下TBS)と共同で、5G SAに基づく新たな通信技術の実証実験に成功しました。この実証実験は、ネットワークスライシング技術を利用して、地上波放送に必要な映像品質を確保することに成功したのです。
背景情報
テレビ中継における最大の課題は、放送設備のない場所からの生中継です。従来の中継車を使った方法では、多くのスタッフを現地に配置する必要があり、緊急時には人手不足という問題が発生します。それに対して、モバイルIP中継機器の使用により、都市や観光地など混雑したエリアでの通信が不安定になるという別の課題も現れていました。
そこで、この実証実験では、移動基地局車、Starlink、ネットワークスライシングを組み合わせた新しいアプローチを採用しました。この取り組みにより、いかなる環境でも安定した通信品質を実現し、柔軟な中継方法を検討しています。
実証実験の概要
実証実験では、移動基地局車とStarlink、さらにネットワークスライシングを組み合わせたシステムを導入しました。意図的に混雑した通信環境を再現し、放送用カメラとモバイルIP中継機器、そして映像伝送ソフトウェアを用いて、リアルタイムで動く被写体の映像を撮影しました。
撮影した映像はTBS放送センターに送信され、現場でフィードバックを得るために、低遅延の映像送り返しシステムやコミュニケーションアプリを使用しました。この方法によって、実際の中継環境下でも高い映像品質が維持できることが確認されました。
実証結果
移動基地局車、Starlink、スライシングを組み合わせた構成では、上り伝送レートを98%と高いレベルで維持しながら、クリアな映像を送信することができました。これに対し、スライシングなしでは30%のレートとなり、いかにこの技術が重要であるかを示しています。
今後の展開
今回の実証実験を通じて得た知見は、今後の放送業界でのスライシング技術の適用を推進するための重要な土台となります。また、将来的には新技術のIOWNを加えることで、フルリモートプロダクション環境の実現を目指し、映像制作や中継のさらなる発展に貢献していく方針です。
5Gのスライシング機能を活かし、様々なニーズに対応できるよう機能の強化を図り、お客様やパートナー企業と共に新たな価値創造や社会課題の解決に取り組んでいくことが期待されています。
エンドースメント
TBSテレビメディアテクノロジー局の清水陽平氏及び原拓氏は、今回の実証実験に関して以下のように語っています。「放送業界において、モバイルIPが不可欠な中継手段として確立されている中で、高品質な映像伝送が可能になったことが非常に嬉しいです。今後の利用拡大とともに、中継の質を向上させることに期待が寄せられています。」
この実証はNTTグループが展開する宇宙ビジネスの一環となっており、今後の発展が期待されます。