音楽と映像の饗宴:會田瑞樹の最新作『北原白秋のまざあ・ぐうす』
2023年5月10日と11日、横浜のかなっくホールで開催される音楽祭は、打楽器奏者で作曲家の會田瑞樹が手がける壮大な作品『北原白秋のまざあ・ぐうす』の世界初演を祝うものです。本公演は、北原白秋の生誕140周年を記念しており、朝日新聞文化財団と野村財団からの助成を受け、全4時間にわたるプログラムが予定されています。
北原白秋が1910年に発表した『まざあ・ぐうす』は、日本初の英国童謡集を紹介し、大正時代の豊かな空気と未来を担う子供たちへの優しさあふれるメッセージが込められています。會田瑞樹は、彼の詩に基づく全120篇に独自の作曲を施し、音楽の新たな地平を切り開いています。
この公演は、一見するとなじみのない現代音楽の領域に根ざしているかもしれませんが、會田は大正時代と現代に共通する多様性の志向を見出しています。歴史の中で西洋文化が浸透し、様々なイデオロギーが交差した大正時代。『まざあ・ぐうす』も、金儲けと戦いの日々の中で人々を見守り、希望を与えてきた文化的遺産です。21世紀の今、會田はこの作品を新たな表現として蘇らせ、音楽のもつ力を多くの人々と共に分かち合おうとしています。
公演のもう一つの見どころは、秋山大知氏による映像演出です。かつて活版印刷で作成された『まざあ・ぐうす』の文字が、大型スクリーンに投影されるという斬新な試みが行われます。これにより、古き良き文学作品と最新のテクノロジーが掛け合わさった、全く新しい舞台体験が与えられることになるでしょう。
また、會田が4月4日に発表した新作『囀笛』も、音楽祭の前触れとして注目を集めています。この作品は、フルートの独奏のためのものであり、その名は「母鵞鳥」を意味する『まざあ・ぐうす』に由来しています。鳥のさえずりをイメージし、フルートに夢を託したこの作品は、自然への深い眼差しが込められています。
公演には、様々なジャンルから集まった実力派の演奏者が参加します。ソプラノの渕田嗣代、テノールの根岸一郎、キャラクターテノールの伊藤靖浩、ヴァイオリンの白井麻友など、多彩な人材が揃い、会場のお客様を魅了することでしょう。音楽と映像の融合によって、観客は素晴らしい体験を得ることができるはずです。
チケットは一般3,000円で、3歳から入場可能ですので、家族で楽しむことができる文化イベントです。かなっくホールは、JR東神奈川駅や京浜急行東神奈川駅からもアクセスが良く、観客にとって便利なロケーションに位置しています。
會田瑞樹は、1988年に宮城県仙台市で生まれ、幼い頃から音楽的才能を開花させてきました。これまで300以上の新作初演を行い、「初演魔」という異名を持つ彼の活躍は、音楽界での評価を高めています。また、リトアニアの国際作曲コンクールでも数々の賞を受賞してきた実績があります。
この音楽祭は、ただのコンサートではなく、技術と芸術が融合した新たな試みです。多様性を持った作品が時代を越えて受け継がれていくための助けとなり、20世紀と21世紀を繋ぐ重要なステップとなることを期待しています。
ぜひ、この機会に『北原白秋のまざあ・ぐうす』という作品を一緒に体感しましょう。音楽の力で、新たな感動と発見の旅が始まります!