事業承継を支援するクラウドプラットフォーム「relay」が始動

中小企業の事業承継問題

近年、日本では中小企業の事業承継が大きな課題となっています。2020年度版の「中小企業白書」によれば、2019年に約43,000件の中小企業が廃業しましたが、そのうちの約60%は黒字です。この現象の背後には、後継者不足という深刻な問題が横たわっています。特に2025年には多くの経営者が70代に突入する見込みで、今後の事業承継が急務となっています。

クラウド継業プラットフォーム「relay」

この状況に対抗するために、新たに登場したのが「クラウド継業プラットフォーム relay」です。このサービスは、事業を譲りたい経営者と譲り受けたい候補者を効率良く結びつけます。具体的には、経営者の運営理念や企業のストーリーを詳細に記事化し、その想いを後継者に伝えることで、従来のM&Aマッチングサイトとは異なる魅力を持っています。まずは、宮崎県における案件から取り扱いを始める予定です。

後継者公募案件の開始

サービス開始と同時に、「天然酵母田舎のぱん屋」と「bar gifter」の二件の継業先の募集がスタートします。天然酵母田舎のぱん屋は、温かみのある家族経営のぱん屋として、地元の人々に愛されている店舗です。現在、経営者の高齢化に伴う後継者募集が行われています。一方、「bar gifter」は開店から数年で多くの常連客を抱える人気のバーで、現オーナーの新たな事業展開のための後継者を探しています。

地域団体との連携

加えて、relayは事業承継やM&Aを支援する7つの地域団体と提携を結びました。この連携により、各団体が持つネットワークを活用し、地域内の事業承継案件を発掘し、継業文化を育む取り組みが強化されます。税理士や弁護士と連携することで、法務や税務面でも万全のサポートが整えられ、経営者や事業を受け継ぐ候補者は安心してそのプロセスを進めることができます。

地域創生に向けた取り組み

株式会社ライトライトの代表である齋藤隆太氏は、地域と出身者をつなぐことを重要視しています。前職での経験を活かしながら、地方出身者が経営者としてUターンする未来を目指しています。2020年に設立されたこの企業は、「出身地と出身者をつなげる」取り組みを通じて、地域経済の活性化を図っていく意向です。クラウド継業プラットフォーム relayの展開は、まさにその一環であり、地方から事業承継の新たな風を吹き込むことが期待されています。

このように、中小企業の事業承継を支援する「relay」は、問題解決に向けた具体的な一歩を踏み出しました。地域の活性化と未来の企業をつなぐこのプラットフォームが、どのように成長していくのか、今後の展開に期待が高まります。