介護業界の新たな進展!見守りライフが職員と入居者の負担を軽減
日本老人福祉財団は、全国7箇所にわたる介護付き有料老人ホーム「ゆうゆうの里」を運営し、高齢者の生活の質(QOL)を向上させるべく様々な取り組みを行っています。特に注目すべきは、介護DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した「見守りライフ」の導入です。このシステムにより、職員の身体的および精神的な負担が大幅に軽減された結果が見えてきています。
介護業界の深刻な人材不足
介護業界では、現在深刻な人材不足が問題視されています。厚生労働省の調査によると、2022年度時点で約215万人の介護職員がいる中、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の職員が必要となるとされています。これに対して、「見守りライフ」の導入は、人材不足の解決に向けた重要な一手となり得ます。
見守りライフとは?
「見守りライフ」は、離床センサーやカメラを利用して高齢者の状況を24時間365日可視化するシステムです。例えば、入居者のベッドに荷重センサーやバイタルセンサー、カメラを設置することで、動きや睡眠状態を把握することができます。佐倉の「ゆうゆうの里」では、2023年夏にこのシステムが全111床で導入され、職員による夜間の安否確認の手間を大きく軽減しています。
職員と入居者の負担軽減
具体的には、夜間に職員が行っていた約50回の安否確認訪室が、「見守りライフ」によってほとんど不要となりました。この結果、夜間の睡眠時間が増加し、質も向上したことが確認されています。例えば、一晩で6%の睡眠時間が増え、深い睡眠時間も26%増加したとのことです。この効果は、入居者の生活の質を向上させる一因と考えられています。
さらに、施行前と後の転倒事故件数を比較したところ、月間の転倒事故件数が46%減少したことも報告されています。これは、見守り機能が入居者の安全性を高めていることの証拠です。
職員への良い影響
「見守りライフ」の導入は、職員の仕事環境にも良い影響を与えています。典型的な業務の負担感に関するアンケートでは、夜勤中の業務に対する負担感が大幅に軽減されていることが示されました。具体的には、負担感を「とても感じる」と回答した職員の割合が27%から13%に減少し、精神的、肉体的な負担もそれぞれ67%から42%、73%から32%に減少しました。
今後の展望
この成功事例を受けて、日本老人福祉財団はさらなる取り組みを進めていく意向を示しています。具体的には、深夜帯の勤務人員を削減し、日中のシフトを強化するなどの見直しを行っています。また、データを基に入居者の状態を分析し、より良いケアプランを策定する方向にも進展しています。
日本老人福祉財団は引き続き、効果的な介護DXの導入を推進することで、入居者のQOLを向上させつつ、職員の負担を軽減し、効率的な施設運営を実現していく考えです。介護現場において、技術の導入がもたらす変化は今後ますます注目されることでしょう。