松家仁之が描く新しい歴史の物語
本日、松家仁之の新作長篇小説『天使も踏むを畏れるところ』がついに発売されました。この作品は、新宮殿の造営を中心に展開する壮大な物語で、終戦直後の日本社会を背景にしています。著者の松家氏は、その前作『火山のふもとで』が読売文学賞を受賞し、今年の文庫化も大きな話題となりました。
終戦からの復興と新宮殿の造営
物語の舞台は1945年5月。東京の激しい空襲によって明治宮殿が焼失し、戦後の復興が模索される中での「新宮殿」造営プロジェクトが始まります。このプロジェクトの設計を担うのは若き建築家・村井俊輔です。彼の立場から始まる物語は、さまざまな登場人物たちの視点を通じて描かれ、建築という枠を超えて人間ドラマが織り成されます。
松家氏は、このプロジェクトに関わる人々の思いを丁寧に描写し、その視点を変えることで、より立体的なストーリーを構築しています。戦後の民主国家となった日本の中で、戦災からの復興、そして象徴天皇にふさわしい新しい宮殿の造営という大義のもと、多種多様な人物が登場し、それぞれの思いを胸に抱えながら物語は進行します。
登場人物の多彩な視点
村井俊輔だけでなく、建設省から宮内庁に派遣された技官、造営責任者、天皇の侍従、美智子妃と親交のある園芸家の女性など、様々な立場からプロジェクトに関わる人々の視点が物語に深みを与えています。それぞれの思惑や願いが交錯しながら、決して一筋縄ではいかない物語が展開されるのです。
また、「新宮殿」のデザインに関する議論や歴史的背景についても触れられており、単なるフィクションを超えた、リアルな歴史ドラマとしての側面も魅力です。
発売記念イベントも開催
この新作の発売を記念して、紀伊國屋書店新宿本店およびジュンク堂書店池袋本店で特別なトークイベントが予定されています。イベントには、建築家や歴史研究者を招き、松家氏自身も執筆時のエピソードや作品の思いを語る機会が設けられています。
1. 紀伊國屋書店新宿本店
- - 日時: 2025年3月29日(土)13:40開場 / 14:00開演
- - 登壇者: 松家仁之氏、堀部安嗣氏
- - 参加費: 1,500円(税込)
トーク終了後にはサイン会も実施。
2. ジュンク堂書店池袋本店
- - 日時: 2025年4月22日(火)19:00開場/19:30開演
- - 登壇者: 松家仁之、河西秀哉(名古屋大学大学院准教授)
- - 参加費: 2,000円
こちらでもオンライン視聴チケットが販売されています。
まとめ
『天使も踏むを畏れるところ』は、松家仁之の新たな傑作としておすすめです。建築の視点を用いながらも、登場人物たちの深い感情を描いたこの作品は、読者にとって「小説を読む歓び」を再発見させてくれることでしょう。ぜひ、新たな歴史の物語に触れてみてください。