持続可能な都市構造実現に向けた立地適正化計画の進展と課題
立地適正化計画の実効性向上に関する検討会
2023年12月6日、国土交通省は「立地適正化計画の実効性の向上に向けたあり方検討会」を立ち上げ、その成果をまとめた『持続可能な都市構造の実現のための『立適+(プラス)』』を公表しました。本記事では、検討会の主な結果と今後の対応策について解説します。
検討会の設立背景
「立地適正化計画」とは、地域の特性に応じた適切な土地利用を促進するための制度です。このたび設置された検討会は、立地適正化計画の実効性をさらに高めることを目指しています。具体的には、コンパクト・プラス・ネットワークの推進を掲げ、地域の活性化に貢献することを目的としています。
国土交通省が主導し、筑波大学の谷口守教授を座長にしたこの検討会は、2023年1月から、7回にわたって議論を重ねてきました。議論の中では、計画の適用範囲の拡大や、市町村による取り組みの検証も行われました。
現状と課題
1. 現状
検討会の結果、現時点での立地適正化計画への取り組みは順調に進んでいるという評価がなされました。特に、計画作成に関与する市町村の数は増加を続けています。しかし、どの市町村においてもその必要性が十分に理解されているわけではなく、必要な地域でも計画策定が遅れているという課題があります。さらに、居住エリアと誘導施設区域の調整が進んでいる地域も約2/3を占めていますが、依然として見直しを行わない市町村も存在しています。
2. 課題
見直しを行っていない市町村が存在することや、評価方法が統一されていないため、各県市の間での差異が生じていることが問題点として挙げられています。これによって、立地適正化計画の効果を最大限に発揮できていない状態が続いています。
今後の取り組み
1. 裾野拡大
検討会は、今後も取り組みの裾野を拡大し続けることが必要だと指摘しています。このためには、地域ごとの特性を考慮した柔軟なアプローチが求められます。
2. 健康診断体系の確立
市町村による計画見直しを効果的に促進するために、『まちづくりの健康診断』としての新たな体系の構築を目指します。これは、地域の状況を正確に把握し、改善点を明確にするための評価システムとなります。
3. 改善方策の提示と連携
国は、地域間の広域連携の推進やデータの整備・標準化に向けた方策を提示し、この取り組みを支援していく方針を示しています。広報活動の工夫や施策効果の整理を行い、より多くの市町村が立地適正化計画に積極的に関与できるような環境作りに努める方針です。
まとめ
立地適正化計画は持続可能な都市づくりにおいて重要な鍵を握っているといえるでしょう。今後も国と地域が連携し、効率的な土地利用と生き生きとした地域社会の構築に向けた取り組みが求められています。ぜひ市町村の担当者や地域住民もその実施に関与し、地域の未来を見据えた計画に参加していきたいところです。