がん治療におけるSDMの意義と現状、患者と医師のコミュニケーションの重要性

がん治療におけるSDMの意義と現状

がん治療は近年、患者のニーズや選択肢を考慮した形で進化しています。特に重要視されるのが「協働意思決定（Shared Decision Making: SDM）」です。これは、患者と医療従事者が共同で治療方針を決定するプロセスを指します。メルクバイオファーマが実施した調査によると、がん患者、家族、医師の意見を反映した具体的なデータが得られました。

調査概要

本調査は、がん患者2,000人と家族、またがん治療を行う医師200人に対して行われました。その結果、がん患者の79％がSDMを知らない一方で、95.5％は医師と治療方法を話し合いたいと考えていることが分かりました。この結果から、教育や広報活動の必要性が浮かび上がります。

SDMの実施状況

がん治療において、患者の約25.8％が「知識や情報がなくて何を話して良いか分からなかった」と回答しています。これはSDMの実施を妨げる大きな要因です。医師と患者の間でのコミュニケーションが不足しているため、患者自身の希望や考えが治療方針に反映されない状況が問題視されています。

医師と患者のコミュニケーション

調査では、がん患者の86.8％が自分の話したいことを医師に伝えられたと答えた一方で、35.3％が後悔した経験があると報告しています。このことは、治療選択の重要性を感じながらも、十分なコミュニケーションが取れていないことを示しています。まずは患者が自分の気持ちを医師に伝える環境を整えることが求められます。