フィットネス業界が迎える新たな成長期
2024年度のフィットネス市場が7100億円に達し、前年からの過半増と共に過去最高額を更新する見込みです。これは、コロナ禍からの回復とともに健康意識が高まったこと、そして各企業がSNS等を利用して革新的なプロモーション戦略を展開した結果です。特に、低価格に抑えられた「コンビニジム」という業態の台頭が顕著で、多くの新規会員獲得に成功したのが大きな要因とされています。
フィットネス業界の大手15社を中心に、2024年度末の店舗数は約6500店舗に達し、10年前の3000店超から2.3倍の伸びを見せています。コロナ禍直後の2020年度末には4387店舗でしたが、他の業界に比べ相対的に急速な回復を見せています。
特に注目すべきは「chocoZAP」の存在です。運営を行うRIZAPが東京の新宿に展開するこのブランドは、手軽に通える低価格のジムとして多くの支持を集めています。「chocoZAP」は、初心者や女性など新しい層の参加を促進する要因となり、フィットネス市場を押し上げる立役者として浮上しています。また、オンラインフィットネスや特化型ジムも人気を博しており、顧客の多様なニーズに応える形で市場を拡大しています。
二極化する業績の状況
フィットネス企業の業績を見てみると、2024年度の調査によると、約48.8%の企業が黒字を計上していますが、一方で15.9%が減益、31.7%の企業は赤字に転落しました。このデータから、業界が二極化していることが明らかになっています。増収を果たした企業がある一方で、建設費の高騰や競争激化が原因で苦境に立たされる企業も多く、業績格差が拡大しています。
収益力の低下は、硬直した運営コストと市場の厳しい競争の両方が影響を及ぼしています。特に、電気代や人件費、水道代の上昇は各社に共通する課題で、固定費の管理が難しくなっています。
2025年度に向けた見通し
次年度にもこのトレンドは続くと見られており、健康への意識が高まり続ける中で、フィットネス需要は引き続き増加することが予想されます。新規店舗の開設を進める各社は、キャンペーンを通じて既存会員の維持と新規会員の獲得を目指しています。この取り組みが収益向上につながると期待されています。
しかし、競争激化の中での価格戦略が鍵となるでしょう。物流コストや顧客の節約志向の高まりにより、会費の値上げが難しくなっています。今後、業界はいかにして売上とコスト管理の万全なバランスを保つかが問われます。
特に高品質なフィットネスプログラムや、特化型の運動(例:暗闇サイクリング、キックボクシング等)を導入することが、競争優位性を保つためには欠かせません。フィットネス業界の変革と成長が注目され、さらなる進化を遂げることでしょう。