住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎)とジオリーブグループ株式会社(社長:植木 啓之)は、2023年8月29日に資本業務提携契約を締結しました。この提携により両社は木材建材流通業界の持続的な成長を目指し、それぞれの強みを最大限に活かしていくことになります。
住友林業は、ジオリーブグループの株式27.19%を保有しているベニア商会の全株式を取得し、さらに既存の保有株式を加えることで、ジオリーブグループに対する持分を30.3%に引き上げます。この結果、ジオリーブグループは住友林業の持分法適用関連会社となります。
それに伴い、ジオリーブグループは、外装及びサッシ事業を強化し、エリア拡大を狙っています。そのために、住友林業が持つ建材流通系の子会社、具体的には井桁藤、スミリンサッシセンター、住協、住協ウインテックの全株式を取得することとなります。
木材建材流通業界の変化
国内の住宅市場は、少子高齢化や人口減少により新築住宅の着工戸数が減少することが予測されています。また、高齢化する職人や建設業界の後継者問題も深刻化し、人手不足が進行しています。これに加え、法改正による脱炭素社会への対応や良質な住宅ストックへの需要も高まっています。こうした市場環境の変化を受けて、木材建材流通業界では、物流や施工に関する機能を強化し、競争力を高めることが求められています。
提携の目的
住友林業とジオリーブグループは、資本業務提携を通じて強固な収益基盤を築くことを目指しています。住友林業は、国内外での木材・建材製造および流通事業を拡大し、国産材の利用促進にも力を入れます。一方で、ジオリーブグループは、広報な物流や加工、施工機能を活かして住友林業の建材流通系子会社4社をグループ化し、中部・西日本地域での競争力を強化していきます。
さらに、両社はDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して、見積もりや配送サービス、構造躯体供給システムなどのソリューションを提供し、木材建材流通業界全体の生産性向上を目指しています。
業務提携の内容
住友林業とジオリーブグループは、以下のテーマをもとに業務提携を進めていく予定です。
1.
DX推進による業務効率化: 物流や各種業務の合理化を図り、全体の生産性を向上させます。
2.
構造躯体供給システムの構築: 省施工化を推進し、工事の効率を高めます。
3.
脱炭素設計の推進: 脱炭素資材の活用や国産材の利用促進を図ります。
4.
新規市場の開拓: オリジナル商材の販売拡大及び新たな顧客層の獲得を目指します。
住友林業グループは、森林経営から木材・建材の製造、住宅の建設、不動産開発、さらには木質バイオマス発電に至るまで「木」を軸にした多様な事業を展開しています。2030年を目指した「Mission TREEING 2030」により、森林のCO2吸収量の増加や木造建築の普及が進められ、持続可能な社会への貢献が期待されるでしょう。
ジオリーブグループも、建材流通を中心にした事業展開を進めており、エネルギー関連商品や認証材の普及に努め、脱炭素社会の実現を目指しています。工務店支援システムの構築や非住宅分野における工事機能の強化を推進し、業界の枠を超えた新たなビジネスモデルの確立が期待されているのです。
この提携を受けて、両社がどのように進化していくか、今後の展開に注目です。