東洋建設の新たな試み
東洋建設は生成AI技術を活用した新しい統合検索プラットフォーム、「TOYO ChatGPT RAG適用版」を導入しました。この取り組みは、企業内部での情報漏洩リスクを避けるために、クローズドな環境での安全な運用を目指しています。
導入の背景と目的
現在、生成AIはビジネスパーソンにとって非常に有用なツールですが、外部の無料サービスに企業の機密情報を入力することは危険を伴います。東洋建設では、コーポレート部門や土木・建築事業部門、総合技術研究所などが共同で「生成AI利用要領」を策定し、全社員が安全に利用できる環境を構築しました。このプラットフォームは、各部門のニーズに応じたカスタマイズが可能で、常に最新のサービスに切り替えられるよう設計されています。
多彩な機能の提供
1. 標準版とその利点
このプラットフォームでは、Azure OpenAIを用いた安全な環境で利用可能な標準版が用意されています。利用者は好みのGPTモデルを選択でき、過去の履歴を活用することができるプロンプトアシスト機能も搭載されています。これにより、業務の効率化が進みます。
2. RAG適用版
「TOYO ChatGPT RAG適用版」では、土木、建築、管理といった異なる部門ごとに専用のGPTが設定されており、社内外の関連ドキュメントへのアクセスが可能です。特に、ユーザーが必要とする情報の出典をダイレクトに確認できる機能は、業務上の安心感を提供します。
3. AI社内ファイル検索
全国の工事データや各種ファイルをキーワード検索可能な「AI社内ファイル検索システム」が導入されており、職員はファイル名を知らなくても必要なデータを容易に見つけ出せます。この機能は、業務フローを大幅に改善し、組織内のナレッジシェアリングを促進します。
4. 安全管理への取り組み
さらに、同プラットフォームは安全専用のGPT「K-SAFE 東洋RAG適用Version」を搭載しています。この機能によって、厚生労働省が提供する労働災害データに基づく分析や、災害防止のための独自データを検索することができ、統一的な安全管理体制が強化されることが期待されています。利用者はイラストを交えたチャット形式で質問もすることができ、視覚的な理解を助けます。
今後の展望
東洋建設はこのプラットフォームを社内全体で積極的に活用し、従業員のデジタルスキル向上と業務効率の向上を図る方針です。新しいテクノロジーを駆使することで、安全かつ効率的な業務運営を実現していくでしょう。